あきりんの映画生活

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「明かりを灯す人」 (2010年)

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2010年 キルギス 80分
監督:アクタン・アリム・クバト
出演:アクタン・アリム・クバト

大草原の人々の日常。 ★★☆

中央アジアキルギス共和国というのは天山山脈の麓にある。
そうか、そういうところでも映画は作られているんだ。

物語の舞台は大平原の小さな村。
主人公はそこに妻と3人の娘と暮らす電気工の”明り屋さん”。
彼は村の家々でアンテナの調整や配線の修理をおこない、時には貧しい人のために電気メーターを細工したりもしていた。

村の風景は50年前ぐらいの我が国を思わせる。
舗装されているところなどなく、女子たちは石蹴りのような遊びをしている。
どこか懐かしい。

そんなキルギスの映画ということで、自然賛歌のような雰囲気を漠然と思っていた。
しかし実際には、非常に人間くさい映画だった。
村も若者流出による過疎化問題を抱えており、村を反映させてみせると言って選挙活動をする人物もいる。
主人公はあくまでも純朴なのだが、村人、あるいは村人を利用しようとする人たちには私欲と打算がつきまとっているのだ。

政治家が外国の資本家と手を組んで、村を利用しようと画策する。
そのために醜いことをしようとする。村に悪いことが起きようとしているようなのだ。
思わず反対しようとした灯り屋さんは・・・。

最後、誰も知らないところで、明り屋さんが夢みていた手作りの風力発電で電灯が光りはじめる。
そんな村の中を走る自転車の男がアップで映る。
しかし、顔は映らず、その人物が誰なのかは判らない。

まるで死んでしまった灯り屋さんが村の中を走り抜けているようだった。