2010年 日本 122分
監督:谷口正晃
出演:仲里依紗、 中尾明慶、 安田成美
あの同名作品の続編。 ★★
同名の筒井康隆のジュブナイルSFの映画化は4回されている。
まずはじめに原田知世主演の大林宣彦版(1983年)、次に角川春樹監督版(1997年)、次にアニメ版(2006年)、そしてこの谷口正晃版。
これだけ根強い人気があるのは、原作も好かったのだが、やはり最初の大林版のヒットがあったからだろうと思う。
誰だってこの映画を観る人は大林版を知っていると思う。
だからなにかしら新鮮味を出さなければならない。ということで、今作はリメイクではなく、続編といった感じだった。
今作のヒロインは、あの芳山和子(安田成美)の娘あかり(仲里依紗)。
意識不明になった母の伝言をあの深町君に伝えるために、あかりは1970年代にタイム・スリップする。
ただ、この芳山和子と深町君の関係など、原作か前作か、とにかくオリジナルの物語を知っていないと、ちょっと設定が理解不可能だったのではないだろうか。
70年代の世界は、当時を経験してきたものにとっては懐かしく、その描写は面白い。
映画では「スター・ウォーズ」が流行り、TVでは「なるほど・ザ・ワールド」をやっていたのだ。
ああ、その頃だったか、と思う。
あかりは銭湯に行って、「神田川」の世界だ!、とご満悦になったりもするのだ(笑)。
70年代の世界で知り合った青年(中尾明慶)に自分のことを信じさせるために携帯電話を見せるところも面白い。
そりゃ当時としては、電話が持ち歩けて、しかもそれで写真が撮れて、音楽も聴ける機械なんて夢物語だったものなあ。
ということで、周辺の事柄は興味深くてよかったのだが、肝心の物語はもうひとつだった。
あの大林版があれだけヒットしたのは、わざと狙ったチープさが哀愁に満ちていたからだろう。
おじいさん、おばあさんの本当は死んでしまっていた孫のエピソードなど、切なさを上手く出していたからだろう。
今作にはそういった深み、情感がなかった。
ただ前作とは違ったものにするための面白さだけを狙っていたように感じられた。
深町君はもう脇役扱い。
で、あかりがタイム・スリップ先で知り合った青年に淡い恋心を抱く、しかし、二人の間には40年の歳月がある、といった新しいラブ・ストーリーが中心だった。
これって、”時をかける少女”にする必要があった?
大林版が好きだった人には、あまりお勧めしません。
それとも、自分でたしかめてみます?