あきりんの映画生活

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「友よ、さらばと言おう」 (2014年)

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2014年 フランス 90分
監督:フレッド・カバイエ
出演:バンサン・ランドン、 ジル・ルルーシュ

フランス製アクション。 ★★★

この監督の作品を観るのは3作目。
前の2作は、一般市民である夫が事件に巻き込まれて、妻を守るために奮闘するというもので、どちらも面白かった。
今作の主人公は元・刑事。
だから一般市民ではないが、息子のために奮闘する。

笑顔を失ったような男シモン(バンサン・ランドン)。
余分な説明なしにフラッシュバックのような映像で分かってくるのは、元刑事だった彼は人身事故を起こして服役していたらしいこと。
幸せだった家庭も崩壊して、妻と息子を遠くから見守ることしかできなくなっていること。

フランス映画特有の暗く沈んだ雰囲気が、ある意味、格好いい。
主役のバンサン・ランドンは、「すべて彼女のために」(この映画はラッセル・クロウ主演でハリウッド・リメイクされた)の主人公。
すこしも美男子でもないが、彫りの深い顔、鋭い目つきが印象的な人。
この顔つきだけでドラマを感じさせるよう。

とある日、息子がひょんなことから殺人現場を目撃してしまう。
目撃者を消すためにマフィアが息子を襲ってきたことを知ったシモンは、必死に息子を守る。
廃工場のようなところでのヒットマンとの戦いは、ものすごい迫力。
この監督の作品は、戦い方がスマートではない分だけリアリティがあって、はらはらさせてくれる。

元妻の今の恋人が、悪い人ではないのだけれども無神経な奴なんだよね。
子供連れのデートで闘牛を見に行く。そして子供に、牛が死ぬところを見ろよと勧めたりする。彼、スペイン系?

さて、このままでは息子がまた襲われる、ということでシモンはマフィアを倒すために単身乗り込もうとする。
するとそこへ、刑事時代の相棒だったフランク(ジル・ルルーシュ)が、一人では無理だ、俺も行くぜ、と加勢を申し出てくる。

おお、友よ。
これはあの「昭和残侠伝」の高倉健と池辺良ではないか。「兄弟、俺も一緒に行くぜ」。
あるいはジョニー・トゥ監督作か、ジョン・ウー監督作か(笑)。
しかし、なんでフランクはわが身の危険も顧みずにそんなに協力してくれるんだ?

ナイト・クラブでの激しい銃撃戦がある。
そして、シモン一家の高速列車でのパリからマルセイユへの逃避行となる。
この列車にマフィアの一団が乗り込んできて、またまた激しい銃撃戦となる。

ここでも、事態を察知したフランクは必死に列車を追いかけ、シモンを助けてくれようとする。
そうなのだ、この映画は激しいマフィアとの戦いの映画なのだが、もう一つの軸に、とことんシモンのために身を呈して助けてくれるフランクの物語でもあるのだ。
おお、友よ。

原題は”私の過ち”という意味らしい。
映画を最後まで観ると、この原題も、なるほど。
邦題はちょっとやり過ぎ感があるなあ。かっての「あるいは裏切りという名の犬」とかのころは新鮮な感じがしたものだったが。

どうでもいいツッコミを一つ。
目撃者の口封じをするためといって、あんな白昼に堂々と自動小銃を持って襲いに来たら、目撃者がもっと増えてしまうのでは?
割に合わないよなあ。

フランス製アクション映画は、派手ではあってもどこか渋くて、なかなかに好みです。