あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「とらわれて夏」 (2013年)

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2013年 アメリカ 111分
監督:ジェイソン・ライトマン
出演:ケイト・ウィンスレット、 ジョシュ・ブローリン

変わった状況下でのラブ・ストーリー。 ★★★★

しみじみと良さが伝わってくるような、そんな映画。
華やかなところはまったくなく、登場人物はほとんど3人だけ。場面もほとんどはヒロインの家だけの5日間の物語。
それなのに、ああ、好い映画を観たなあと思わされた。

1987年の夏の終わり。
田舎町で13歳の息子ヘンリー(ガトリン・グリフィス)と暮らすアデル(ケイト・ウィンスレット)は。夫に去られてから精神状態が不安定だった。
月に一度の買い出しにもヘンリーの助けが必要なほど。
そんなある日、二人はショッピングセンターで出会った脱獄囚のフランク(ジョシュ・ブローリン)に脅されて、彼を自宅へ匿うことになる。

この映画の作りの巧みなところは、ヘンリーの視点で捉えられていること。
ヘンリーを中においての、アデルとフランクの気持ちの変化が、見ている者に何となく分かるように描かれている。

脅された恐怖からフランクを匿いはじめたアデルだったが、フランクは決して二人に危害を加えない。
そればかりか、男手がないために荒れていた家を修理し、故障していた車を整備して、アデルの家事も手伝ってくれる。
ヘンリーのキャッチボールの相手もしてくれる。

こうして、3人の気持ちが穏やかに溶け合いはじめる。
要するに、母子家庭であるために決定的に父性が欠落していたアデルとヘンリー、そして決定的に家族愛が欠落していたフランクの出逢いだったわけだ。
3人の気持ちがそれぞれにやわらかく満たされていく。
観ている者の気持ちもやわらかく満たされていく。

ちょっと間違えれば絵空事になりそうな設定だが、精神的に不安定なアデルを演じてケイト・ウインスレットが上手い。
何となくリアリティを感じさせてくれる。

秀逸だったのは3人でピーチパイを作る場面。
作中ではその理由は語られていなかったが、なぜかフランクは料理がうまかったのだ。
彼はアデルとヘンリーにピーチパイの作り方を教えてくれるのだ。
ボールの中でねとねととした生地をこねるアデルとフランクの手が触れあう。
二人の気持ちまでもが触れあって絡み合うようだった。

しかし、3人が浸りきっていた幸せな日々がいつまでも続くはずがないことは、当の本人たちが一番知っていたわけだ。
当然のように、終わりの日がやってくる。
5日間の出逢いの日々ののちにフランクは逮捕されていく・・・。

(以下、ネタバレ)

この映画の後味の良さは言うことがなかった。
そうなのだ、この映画は成長したヘンリー(トビー・マグワイア)がちゃんと後日談を語ってくれるのだ。
それも、あのフランクが教えてくれたピーチパイを要にして・・・。
ああ、よかったね。

ケイト・ウインスレットが愛おしく思える映画でした。