2014年 イギリス 115分
監督:モルテン・ティルドゥム
出演:ベネディクト・カンバーパッチ、 キーラ・ナイトレイ
史実に基づいたドラマ。 ★★★
エニグマというのは、第二次大戦時にドイツが誇った暗号機の名前。
その解読不能な性能から史上最高の暗号機といわれていた。
この映画はそのエニグマの解読に挑んだ天才数学者アラン・チューリングの物語。
なんとかエニグマを解読しないことには戦争に勝てそうもないということで、イギリスはMI6の管理下に、エニグマ解読チームを組織する。
天才数学者のチューリング(ベネディクト・カンバーパッチ)もその一人だったのだが、偏屈な彼は仲間とは共同作業をせずに、一人で解読機械を作り始める。
このエニグマについては、タイトルもそのままの映画「エニグマ」で知った。
2001年の映画で、ケイト・ウインスレットなどがでていた。
それによれば、エニグマはタイプライターのような形をしており、文字キーを押すと一定の法則で別の文字を打ち出していた。
そしてその法則は、いくつかのダイアル操作で無限に近く変えることができるのだという。
解読組織のメンバーは傍受した暗号無線をなんとか解読しようとする。
しかし、午前零時になると暗号の法則はまた変えられてしまう。
翌日はまた一からのやり直しになる。この途方もない作業が延々と続いていた。
そんななかで、チューリングの暗号解読に傾ける情熱が凄まじい。
人の意見などには耳も貸さないで、ひたすら自分が考えた暗号解読器を作ろうとする。
ただ一人、彼を理解してくれるのはパズル解きの天才ジョーン(キーラ・ナイトレイ)。
彼女の存在で、チューリングは仲間との連携もできるようになっていく。
チューリングが作ろうとしていた機械、それは、ほとんど無限とも言える組み合わせを片端から試していく機械。
つまり、今のコンピューターの基本となる機械である。
そうか、チューリングがコンピューター発明の基礎を築いていたのだったか。知らなかった。
(以下、物語の後半に触れています)
やがてチューリングの機械はエニグマを解読する。
しかし、ここからが難しい。
暗号を解読できればドイツ軍を叩くことはできる。しかし、暗号が解読されてしまったとドイツ軍に知られても困るわけだ。
また暗号を変えられてしまったら、何にもならない。
さあ、どうする?
さらにチューリングには他人には明かせないある秘密を抱えていたのだ。
その秘密のために、チューリングの功績は長い間、伏せられていたのだった。
天才的な人というのは、やはり何かしら常人とは感覚、感性も違うのだろう。
それ故の苦悩もあって、それも常人には計り知れないものなのだろう。
この映画は天才の功績を描いているのだが、同時に天才の悲しさも描いていた。