あきりんの映画生活

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「セッション」 (2014年)

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2014年 アメリカ 107分
監督:デイミアン・チャゼル
出演:マイルス・テラー、 J.K.シモンズ

狂気の音楽ドラマ。 ★★★★

音楽によらず、絵画でも演劇でも、芸術活動は真剣になればなるほど狂気を孕んでくる。
それにしても、この映画の狂気はすごい! 迫力である。

名門の音楽院に学ぶニーマン(マイルズ・テラー)は、ジャズ・ドラマーとしての成功をめざしていた。
ある日、フレッチャー教授(J.K.シモンズ)の目に止まり、彼のバンドにスカウトされる。

音楽大学の有り様など知るよしもないので判らないのだが、それぞれの教授が指導するバンドにはランクがあるようなのだ。
このフレッチャーの指導を受けるバンドに入るということは、それだけ才能が認められたことらしいのだ。

しかし、このフレッチャーという人物、ただの指導者ではなかった。
カリスマ性があるというか、尊大というか、自信過剰というか、すさまじい指導をする。
生徒を罵倒するわ、苛め或いはしごきともいうべき練習をさせるわ、生やさしいものではない。
しかし、まあ、とにかく才能を開花させることに独特の信念を持つ人ではある。

マイルズ・テラーがどれだけドラムを練習したのか、またはどれだけボディ・ダブルで撮っているのか判らないが、ドラム演奏はすごい迫力である。

さらにそれ以上なのが、J.K.シモンズの演技。
なにしろフレッチャーは、グッド・ジョブなんて(褒め)言葉が一番人を駄目にする、という信念の持ち主だ。
たった一人のチャーリー・パーカーを育てるためには、何百人の生徒がつぶれようが、一向にかまわないのだ。

この自分の信念で突き進むフレッチャーと、なんとかそれに食らいついていこうとするニーマン。
それ以外のものは何もない。
二人の真剣勝負がこの映画の醍醐味。

(以下、ネタバレ気味)

最後の10分近くにわたる演奏は、それこそ固唾をのんで見入ってしまった。

なんやかやがあって・・・。
ニーマンに甘い言葉をかけてステージにあげたフレッチャーには、そもそもはニーマンを公開の場で完膚なきまでに叩きのめそうという復讐の意図があったわけだ。

そして、一度は叩きのめされたニーマンが次に反撃に出る。
スローな曲をやりますと言っているフレッチャーにはかまわずに、いきなりアップ・テンポの「キャラバン」を叩き始めてしまうのだ。

ここからのニーマンのドラムがすごい。
狂気としか言いようがないほどのドラムを叩き続ける。
そのニーマンに腹を立て、お前を殺す、とまで言っていたフレッチャーだったが、次第にそのドラムに入れ込み始める。
反目し合っていた二人がお互いに鼓舞し合っているようになるのだ。一緒に音楽の高みに上っていくようなのだ。

上りつめたその演奏の終わりと共に、映画も終わっていく。
余分なものは何も付け加えられない。
卑小な人間の思惑など越えた音楽そのものだけとなって、映画は終わっていったのだった。