あきりんの映画生活

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「白鯨との戦い」 (2015年)

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2015年 アメリカ 122分
監督:ロン・ハワード
出演:クリス・ヘムズワース

名作「白鯨」の秘話。 ★★☆

メルヴィルの有名な小説「白鯨」の裏に隠された物語、という触れ込み。
映画自体も、そのメルヴィルが、生き残りの船員から話を聞く、という体裁を取っている。
実際に難破した捕鯨船エセックス号事件というのもあったようだ。

時代は1800年代初め、まだ石油が普及しておらず、灯油などには鯨油が使われていたらしい。
そこで、捕鯨船は仕留めた鯨から集めた鯨油を樽に摘んで持ち帰っていたわけだ。
航海は長いときは1年にも2年にも及んだようだ。

捕鯨船エセックス号も、プライドばかりが高い新米船長、ベテランなのだが家柄がよくないとのことで船長になりそこねている一等航海士(クリス・ヘムズワース)などを乗せて、航海に出る。
思うように鯨は捕れず、遠い海にまで向かう。
そして、そこで巨大な鯨に遭遇する。

地球上で一番大きい生き物とされている鯨。
その鯨の大きい奴だから、体当たりでもされたら捕鯨船なんかひとたまりもないわけだ。
海面から持ち上げられた大きな尾びれは、鯨の全体がどれだけ大きいのだろうと思わせて印象的な画面だった。

で、この映画、結局は白鯨に襲われて難破した船員の漂流記、だった。
白鯨との死闘を徹底的に描いているのかと勝手に想像していたのだが、まったく違った。
戦う相手は広大な海であり、飢えであった。

邦題も当初は「白鯨のいた海で」とする予定だったらしい。
もっと惹きつける邦題に、ということで変えられたのだろうけれど、元の方が内容には合っていたと思える。

漂流の生存者が硬く口を閉ざしていたある秘密というのは、ときに聞く話であるし、そういう状況になればそうだろうなあと想像もできてしまうものだった。
しかし、それも含めて、漂流がいかに厳しいものか、映画はよく伝えてくる。

ちょっと変わった漂流ものではアン・リー監督の「ライフ・オブ・パイ」があった。
あの映画でも漂流者は弱肉強食だったな。

(以下、ネタバレ気味)

最後のあたり、査問会で船長がきっぱりと真実を証言したところはよかった。見直したぞ。
それに、孤島へ置き去りにしてきた仲間を迎えに行って、無事に連れ帰ったという後日談もほっとするものだった。

”白鯨との戦い”ではなくて、”生きのびるための試練との戦い”を描いた作品でした。