1955年 アメリカ 93分
監督:チャールズ・ロートン
出演:ロバート・ミッチャム
悪夢のようなサスペンス。 ★★☆
主人公は二人の子供。
悪夢のような雰囲気のモノクロの作品。
強盗を働いて絞首刑になった父親は大金を隠したままだった。
その隠し場所は幼い2人の子どもだけが知っていたのだが、その大金を狙って善人を装った悪人が近づいてくる。
悪役はとぼけた顔つきのロバート・ミッチャム。
宣教師になりすました彼は盗んだ馬にまたがり、私は何人の人を殺してしまったのでしょうと神に語りかけながらやってくる。
根っからの悪人。
母親に取り入り、なんと結婚までしてしまう。
隠し場所を知っているのは子ども達だと察したミッチャムは、容赦なく母親を殺してしまう。
そして彼は、子ども達に金の隠し場所を言えと、(大人げなく)迫る。
このムキになった迫り方が本当に大人げなくて、違和感を感じるほど。
さあ、危険を察した幼い子ども達の逃亡劇が始まる。
2人の子ども達が名演技。
兄はなんとか妹をかばおうと必死に頑張るし、妹は無邪気に兄を慕って頑張る。
父親が絞首刑になり、母親も殺されてしまったというのに、健気な2人だなあ。
はじめに”悪夢のような雰囲気”と書いたが、この映画は全体に、ちょっと変わっている。
遠くの土手の上を馬に乗ったミッチャムが通る場面は、それこそ夢のような非現実感がある。
ミッチャムから逃げようと、子ども2人は何日も小舟で川を下っていくのだが、その場面はまるで書き割りのような雰囲気。
風景はどこかのんびりしている。
それなのに恐怖感を煽ってくる。無表情に迫ってくるミッチャムが怖いんだよ。
終わり近くになって2人を助けてくれる夫人が現れるのだが、ここからの物語もアンバランスに描かれる。
最後は、物語自身が破綻してしまっていたぐらい。
独特の雰囲気を持った奇妙な映画である。
かなり有名な作品らしい。