あきりんの映画生活

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「クローン」 (2001年)

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2001年 アメリカ 102分
監督:ケイリー・フレター
出演:ゲイリー・シニーズ、 マデリーン・ストー

私は誰? ★★★

フィリップ・K・ディック原作なので、例によって、この作品でも主人公はアイデンティティーが問われる。
ほとんどの場合、アイデンティテイーの確立には過去の記憶、あるいは記憶されている経験が大きな役割を果たす。
しかし、その記憶が偽物だったら?

舞台は、地球が異星人との戦争状態にある未来。
劣勢の人類はシールド・ドームで被われたわずかな都市で生き延びている。ドームの外は異星人の爆撃によって荒廃している。
そんなときに科学者のスペンサー(ゲイリー・シニーズ)は突然、保安局に逮捕されてしまう。
なぜ?

実は、異星人は地球の要人を殺してはクローンを作り、その体内に爆弾をしかけているのだという。
そして郊外に着陸した宇宙船に乗っていた異星人によって本物のスペンサーはもう殺されているのだと。

クローンだから顔も身体も本物と一緒で見分けはつかない。
記憶もすべて移し替えられているので、クローン自身も自分が偽物だとは思っていない。
じゃあ、どうやってクローンだということを証明するのだ? いや、どうやって自分がクローンでないと証明するのだ?

自分の記憶も思考もすべて植え付けられた偽物だといわれても、自分ではそう思えないのだから、これは困る。
そういえば、記憶を植えられた「トータル・リコール」(この映画もフィリップ・K・ディック原作です)のシュワルツネッガーも戸惑っていたな。

保安局はスペンサーの身体を切り開いて爆弾を取り出そうとする。
もし爆弾がなければ、スペンサーは本物だったということになるが、その時にはスペンサーはもう死んでしまっている。
おいおい、こりゃ、クローンだろうと疑いをかけられたら、かなわんな。

ゲイリー・シニーズは両方の口角がにやりと上がる表情が印象的な人。
どこか陰険に腹黒いような役回りが多いが、本作では必死に身の潔白を証明しようとする主人公。
でも、誰も信じてくれない。
頼みの綱の妻(マデリーン・ストー)でさえ、もしかしたら夫はクローンかもしれないと思ってしまうではないか。どうする?

スペンサーは必死で逃亡を図る。
そうだ、あのことが明らかになれば自分は殺されていないことが証明されるぞ。
妻と一緒にその場所へ出かけて、自分がクローンでないことを証明するぞ。

決して大作というわけではないが、100分という短めの作品で、果たして真相は?と飽きさせない。

(以下、ネタバレ)

最後の2段がまえのどんでん返し展開には、驚かされた。
ここまで主人公に辛くあたるエンディングの映画は珍しいのでは?