2012年 フランス
監督:フラソワ・オゾン
出演:ファブリス・ルキーニ、 エルンスト・ウンハウアー、 クリスティン・スコット・トーマス
心理ドラマ。 ★★☆
オゾン監督らしいちょっと屈折した心理を差し出してくる。
文学的な才能がある美少年と、彼に翻弄されはじめる国語教師。
二人のそれぞれの思惑は?
ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は自分の文学的才能に見切りをつけて、高校の国語教師をしているような人物。
なにか物足りないものを感じている人生だったのだろう。
だから、受け持ち生徒のクロード(エルンスト・ウンハウアー)の作文を読んで、彼の才能に興奮したのだろう。
クロードの書いた作文というのは、同級生の一人の家庭のこと。
家族を冷徹に観察し、同級生の母親を中流家庭の女性と分析している。
提出されたその皮肉な目線での描写は、「続く」というひと言で終わる。
ジェルマンはその続きが読みたくてたまらなくなっていく。
ジェルマンは、自分には欠けていた文学的才能に畏敬と憧れがあったのではないだろうか。
ちょっとおどおどとした態度が、触れてはいけないと思いながら深入りしていってしまうような心理をよくあらわしていた。
美少年のクロードは描写対象とした同級生の家に入り込み、家の中をこっそりと探ったりもしはじめる。
ついにはその母親とも二人だけの時間をもつようになる。
なんとも妖しい雰囲気をかもし出しはじめる。
しかし、それらはすべてクロードの作文に書かれた事柄なのだ。
書かれていることは、どこまでが本当? どこからが空想?
観客が見せられている映像は、実際にあったこと? それとも、単に作文に書かれた空想のこと?
ジェラルドの奥さん役がクリスティン・スコット・トーマス。
奇妙なアートを展示する画廊を運営している。ということは、この奥さんも芸術的なものには感覚が鋭いわけだ。
彼女もクロードの作文に反発しながらも、「続く」と物語を書き続ける彼に興味を抱き始める。
そして、クロードはジェラルドの奥さんとも二人きりで会ったりする。妖しい・・・。
クロードの思惑はなんだった? 彼に翻弄され続けたジェラルドはどうなった?
「続く」(笑)。