監督:ティム・マッキャンリーズ
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、 マイケル・ケイン、 ロバート・デュバル
ひと夏の思い出。 ★★★★
少年と老人の交流を描く、というと、なんとなく読めてしまうようなものだが、これは違う。
なんともほのぼの好い映画である。
それというのも、二人の頑固爺さんたちが好いんだよなあ。
ウォルター(ハーレイ・ジョエル・オスメント)は14歳。
派手で、男に騙されてばかりいる母の勝手な都合で住まいも転々としているらしい。
今回はテキサスの一軒家に住む遠い親戚のお爺さんたち、ハブ(ロバート・デュバル)とガース(マイケル・ケイン)に預けられてしまう。
この爺さんたちが只者でないところがこの映画のミソ。
噂では大金持ちらしく、それを聞きつけたセールスマンが野中の一軒家に次々に現れる。
そのセールスマンたちを爺さんたちは銃をぶっ放して追い払うような不良なのだ。
おまけに、街では絡んできた若者たちをぶちのめしてしまうという力も持っている。
要するに痛快なぶっ飛び爺さんだったのだ。
爺さんたちを演じるロバート・デュバルとマイケル・ケイン。さすが。
もうこれは観てもらうしかないのだが、男だったらこういった爺になりたいと憧れる、そんな爺さんたち。
それでも普通の人だったら避けてしまうような、そんな爺さんたちたちなのだが、ウォルターはごくごく自然に接していく。
ガースはウォルターに乞われるままに自分たち二人の冒険談を聞かせる。
アフリカで傭兵部隊に入って暴れ回った話、ハブが一目惚れした女性を争って砂漠の族長と戦った話、などなど
そんな回想場面は、わざとファンタジー調で撮られていて、真実ともホラ話とも判りにくいようになっている。
この冒険談は、本当?
それはともかく、破天荒な爺さんたちは平気でウォルターにビールを飲ませてみるわ、噛み煙草を勧めてみるわ、・・・。
父親を知らずに育ったウォルターには、父親代わりとなる”男”が必要だったのだ。
かたや、老いを自覚し、退屈な人生をぼやきはじめていた二人の爺さんたちにも、ウォルターとの生活は新しいものだったはずだ。
三人が、互いに相手を必要としている関係が気持ちよい。
途中で、母の元へ立ち去ろうとするウォルターを、財産狙いの家族を追い払うためにいてくれと頼む爺さんたちが、好いねえ。
マイケル・ケインがいい爺さんの味を出していた。
ウォルターはひょんなことから老いたライオンを飼うことにもなる。
映画の原題も直訳すれば”中古のライオンたち”、あるいは”老いぼれライオンたち”か。
このライオンが最後に大活躍をしてウォルターを助けてくれたりもするのだが、二人の頑固爺さんをあらわしていて、絶妙なタイトルとなっていた。
ハブとガースの大冒険物語は、果たして本当だった?
その回答は映画の最後に明らかにされる。憎いねえ。
誰にでもお勧めできる爽やかな作品です。
ちょっとほろ苦い感じもあったりして、観た後は優しく満たされますよ。