あきりんの映画生活

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「親密すぎるうちあけ話」 (2004年)

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2004年 フランス 104分
監督:パトリス・ルコント
出演:サンドリー・ボネール

男女の心理ドラマ。 ★★★

ほとんどのルコント監督作は90分から100分と短い。
その時間の中で、登場人物たちの濃縮されたような心理描写が描かれている。
それは、深いところで惹かれ合った男女であったり、ふとしたことで知り合った男同士であったりする。
この作品は、ふとした勘違いから出会った男女が描かれている。

税理士のウィリアム(ファブリス・ルキーニ)のオフィスを、ある日、美しい女性アンヌ(サンドリーヌ・ボネール)が訪れる。
実は彼女は同じ階の精神分析医を訪ねるつもりで、間違えてやってきたのだった。
ウィリアムを医者だと思い込んだアンヌは、夫婦の性生活の悩みを打ち明けはじめる。

映画のほとんどの場面はウィリアムのオフィスの中だけ。
内容もほとんどがウィリアムとアンナの会話だけ。
それなのに、その会話からうかがわれる二人の変化していく心の揺れが、不思議な緊張感を続けていて、飽きることはない。

アンヌの勘違いを正せないままにカウンセリングを続けてしまうウィリアムだったが、やがてアンヌも人間違いをしていたことに気付く。
それなのに、アンヌはウィリアムのオフィスをまた訪れる。そして、うちあけ話を続ける。
アンヌは何を求め始めている? 
そんなアンヌに、ウィリアムはどう応えようとする?

アンヌが帰った後で、ウィリアムが一人で踊る場面がある。
お世辞にも格好良い踊り方ではなく、あの「髪結いの亭主」の珍妙なアラブ風ダンスを思い出させるもの。
しかし、その珍妙さが印象的。ルコントは踊りを巧みに取り入れる。

二人の関係を邪推したアンヌの夫もウィリアムのオフィスにやってくる。
夫は、オフィスの向かいにあるホテルの様子を窓から見ろ、と指示してくる。
あの名作「仕立て屋の恋」を思い出させる。

最後にカメラは、机に向かっているウィリアムと、長椅子で煙草を吸いながら”うちあけ話”をするアンヌを俯瞰する。
離れて位置していた二人は、やがて同じ長椅子で隣り合い、ウィリアムはそれまで手にしなかったアンナの煙草を吸い始める。
それから二人の姿は部屋か消える。
二人は、親密すぎるうちあけ話の果てに、どこへ行った?

ウィリアム役であるファブリス・ルキーニは、終始ほとんど表情を変えない。
わずかに眉を上下させるだけで、いつも目を大きく見ひらいている。
それだけなのに、その時々の心の動きを実に上手く表現している。

大作といった作品ではありませんが、余韻が残ります。