あきりんの映画生活

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「ゲッタウェイ」 (1972年)

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1972年 アメリカ 123分
監督:サム・ペキンパー
出演:ステーブ・マックィーン、 アリ・マッグロー

銀行強盗犯の逃亡映画。 ★★★☆

大金を手にした強盗犯が、妻と一緒にぼろぼろになりながら追っ手から逃亡する物語。
銃撃戦の美学がある一方で、格好好いだけではない人間らしさが映画に深みを与えている。

伝手を使って釈放してもらった銀行強盗犯のドク(スティブ・マックィーン)。
その借りを返すために仲間と3人でふたたび強盗をはたらく。
大金は奪ったものの、計画の破綻、そして仲間割れ。
自分を殺そうとしたルディを、ドクは反撃して撃ち殺す。

この悪役ルディがただ者ではない。ドクに胸を撃たれたのにしっかりと生き延びている。
というのも、ルディは、強盗の準備の時にドクに勧められた防弾チョッキを、その時はそんな物は要らねえと言っておきながら、ちゃんと着ていたのだ。
裏をかかれたねえ。

実は、ドクを釈放させてもらう代わりに、妻のキャロル(アリ・マッグロー)は、大物ベニヨンと寝ていた。
そのことをドクが知ってしまったことから、夫婦仲もぎくしゃく。
このあたり、男としては愛する妻が他の男と寝たことを知れば心穏やかでないことはよく判る。
しかし、キャロルもドクを刑務所から出してやりたいばかりにベニヨンに抱かれたのだしなあ。

大金を手にしたドクとキャロルだったが、組織から追われ、ルディからも追われ。
ゴミ収集車に隠れて逃げのびる場面もある。
なんと二人はそのゴミの中で愛を再び確かめ合うのだ。

そして、他にも悪い奴はどこにでも居るのだよ。
油断大敵。ロッカーの鍵は自分でしっかりと管理しましょう(笑)。
ちょっと緩いところをみせたかと思うと、しっかりとアクションをつなげてくれる。
緩急自在で退屈させない。

一方、追ってくるルディ。ある夫婦を脅迫して行動を共にする。
この夫婦の奥さんが可笑しい。
粗野な悪のルディに惚れてしまい、縛り上げた夫の目の前でルディといちゃつく。
情けない夫。気の毒な夫。
ルディも悪だけれど、この奥さんもかなりの悪女。それとも、ただ脳天気なだけ?(苦笑)。

音楽は大御所のクインシー・ジョーンズ。そしてハーモニカ・ソロはトゥーツ・シールマンス
クインシーのアルバムにはよく参加していて、その哀愁を帯びた音色は好み。
(彼は、高倉健の「夜叉」や「あなたへ」でもハーモニカを吹いている。)

エンディングが、こういった犯罪物にはめずらしい展開。
おんぼろトラックをメキシコのおじさんに売ってもらうあたりは、ほのぼのとしてくる場面。
このサスペンス風味にこういったエンディングを持ってきたところは、後味が好いなあ。
(ただ、アメリカでは犯罪者がハッピー・エンドを迎える映画は御法度だということを、何かで読んだような気もするのだが・・・。)

夫婦役を演じたマックィーンとマッグローは、このあと結婚したとのこと。