あきりんの映画生活

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「ランボー」 (1982年)

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1982年 アメリカ 97分
監督:テッド・コッチェフ
出演:シルベスター・スタローン、 リチャード・クレンナ

ベトナム帰還兵の1人だけの戦い。 ★★★☆

スタローンの代表作といえば、あの「ロッキー」シリーズとこの「ランボー」シリーズだろう。
アメリカが引きずったベトナム戦争の代償を下地にして、単なるアクション映画ではないものにしている。

ベトナム戦争から帰還したランボーは、亡くなっていた戦友を訪ねた際に立ち寄った田舎町で理不尽な仕打ちを受ける。
ランボーの風体や反抗的な態度から、町の保安官は容赦ない責め苦を与えようとする。
それが戦地でのトラウマと重なって、ランボーは逃走を図る。
かっての戦地での闘争本能が目覚めてしまったのだ。

戦地では任務を遂行し、自分の命を守るために必死に生きていたランボーは、平和のアメリカでは居所を失っていたのだろう。
またアメリカも、ランボーをはじめとする彼ら帰還兵に正しい居場所を与えなかったのだろう。
そんなランボーは、保安官から追われて山中へ逃げ込んだときから、ふたたび生気を取り戻す。
そういう状況でしか生気を取り戻せないランボーは、哀れでもある。

一方の保安官は、単なる無法者を懲らしめてやれと、警察犬まで狩りだして山狩りを始める。
しかし、思いもよらぬランボーの戦術にあっさりと返り討ちに・・・。
こんなはずではなかった。洲兵を動員してでも奴を仕留めるぞ。

しかし、元グリーン・ベレーのランボーは野戦のスペシャリストなのだ。
生き抜くための体力、戦闘能力は平和な地に暮らしている保安官や州平とはレベルが違っていたのだ。

これだけ理不尽なことをされたのだから、ランボーが怒るのも当たり前。
それに相手はこちらを殺そうとして発砲してくるのだから、こちらも相手を倒さなければならない。
それはよくわかる。だから、もっとやっつけてしまえと応援はしたくなる。
その一方でこんなに死者を出してしまってランボーはどうなるのだろうという危惧も抱く。
なにしろ、ここは戦場ではなく、平和なアメリカなのだ。
ここにこの映画のテーマもあるわけだ。

スタローンがロッキーの時とはまた違った好い演技をしている。
国から与えられた使命のために視野が狭くなってしまっている人物象を、陰鬱に、たくましく演じていた。

原題は「ファースト・ブラッド(最初の血)」で、どちらが先に仕掛けたか、という意があるとのこと。なるほど。
ランボー・シリーズの第1作である今作は、社会問題を下地にしたアクション映画で魅せてくれた。

シリーズとしてはこの後3本が作られたが、今作以後は社会的な要素はほとんどなくなった。
ベトナム帰還兵の卓越した戦闘能力の面だけが、クローズアップされていったのでした。