あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「ホテル・ワルツ」 (2007年)

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2007年 イタリア 85分
監督:サルバトーレ・マイラ
出演;パレリオ・ソラリーノ、 マウリツィオ・ミケリ

人生のある1日。 ★★☆

高級ホテルに勤めるアッスンタは今日で退職する。
そんな彼女を、昔同僚だったルチアの父親だと名乗る男が尋ねてくる。
娘に会いたい、娘の居所を教えてくれ。

この85分の短めの映画の特徴は、なんと言っても全編をワンカットで撮っていること。
画面は途切れることなく、それこそワルツのようにカメラが流れる。
ということで、上映時間の85分は、作中の経過時間にほぼ一致するわけだ。
(ほぼ、というのは、後に述べるようにある工夫もなされているから)

ルチアの父親は近頃まで刑務所に入っており、8年の間に娘から届く手紙だけが生きがいだったという。
娘に会いたい、娘の居所を教えてくれ。
しかし、アッスンタはそれに応えることが出来ない。なぜなら、ルチアからの手紙というのは、実は・・・。

物語が単調にならないための工夫もなされている。
たとえば、アッスンタを捉えていたカメラが、彼女が見ている視線の先を追う。
そこにホテルの泊まり客がやってくる。
するとカメラは、今度はその泊まり客を追って移動していく。

映画を観ている者は、カメラと一緒になってホテルの中をさまよう。
泊まり客たちが議論を戦わせながらロビーに戻ってくると、仕事をしているアッスンタがそこにいたりするわけだ。

さらにはアッスンタの回想も紛れ込んでくる。
彼女がルキアとの思い出を語りながら視線を動かすと、そこにはルチアがいて、8年前のホテルの場面に変化する。
ルキアからカメラが動くと、画面には8年前のアッスンタがいて、ルチアやその同僚と騒いだりしているわけだ。
再びカメラが動いて今のアッスンタが映ると、回想場面が終わったことがわかる。

こうして、アッスンタの最後の仕事の日の1時間あまりのできごとが語られる。 
ホテルを舞台にした群像劇のような部分もあって、ワンカットで撮りながら退屈することはない。

しかし、物語的には、あえてワンカットで撮る必要があったのかな?という意地悪な疑問も・・・(汗)。
とはいっても、出演者の一人が途中でミスをしたら、それですべては終わり、また最初からやり直しになるという緊張感は、すごかっただろうなあ。

ヴェネチア映画祭で国際映画記者賞を受賞しています。