2016年 日本 120分
監督:庵野秀明
出演:長谷川博巳、 竹野内豊、 石原さとみ
最新ゴジラ映画。 ★★★
東宝映画「ゴジラ」の第1作が作られたのは昭和29年である。
当時の特撮映画としてヒットして、調べてみると、昭和の間だけで22年間に15作品が作られていた。
子どもの頃に、このうちの何本かは映画館で鑑賞しているはずだが、どれを観たのかはもう忘れてしまった。
(ザ・ピーナツが”モスラ~や、モスラ”とうたう映画を観たのは、はっきりと覚えている)
第1作のゴジラは、水爆実験の影響でジュラ紀の巨大静物が深海から出現する、という設定だった。
今回の作品まで、ゴジラは本質的には核の放射能問題を背負っていたわけだ。
謎の巨大不明生物が東京湾に現れ、東京の街をのし歩いて破壊する。
当初は、これ、漫画かよ、と言いたくなるような(稚拙な)ぬいぐるみ様の蚕のお化けの姿をしている。
それがずりずりと這いずり回る。あれよ、あれよと街は押し潰される。
今作の特徴に、政府の対応が細かく描写されることが挙げられる。
災害勃発時に政府はどんな風に考えて、どんな手続きを取って、どう動くのか。
”想定外”のことだから、政府にマニュアルがあるわけでもない。
これは害虫駆除に準じて考えるのか?(笑)
いったい、現行法で自衛隊は害虫に発砲できるのか?(笑)
そうこうしている間に巨大生物は、あのゴジラに変身していく。
口や尾からは放射能性の熱戦(?)を発して、攻撃排除しようとした自衛隊の航空機も戦車も焼き尽くしていく。
東京の街はどんどん放射能に汚染されていく。
今回のゴジラは異星からの怪獣と戦ってくれるのではなく、あくまでも”日本にとっての厄災”として描かれている。
やがて、ゴジラを倒すために、アメリカは東京への核ミサイル発射を通告してくる。
これはリアルに恐ろしい。
アメリカは自国のためなら、迷わずに本当に日本へ核ミサイルを撃ち込んでくるだろう。
右往左往している日本にはそれを拒否する力は、ない。
話が飛躍するが、もし、核武装した某国が日本へ侵攻してきたら、と考えてみる。
おそらくアメリカは、その某国の脅威を取りのぞくという目的のためなら、迷わず核による先制攻撃をおこなうのではないだろうか。
日本の国土に対してでも核ミサイルを発射するのではないだろうか。
(以下、ちょっとネタバレ風)
さて、それからどうなったか。
山手線の車両に爆薬を積み込み、無人電車爆弾をゴジラの足元にぶつける。
林立する超高層ビルをゴジラに向けて倒して、ゴジラの身動きを封鎖しようとする。
このアイデアには感心した。なるほど、日本だ。
そして、どうなったか。
この映画はゴジラとの戦いを迫力ある映像で見せながら、今の日本が抱える危機管理を描いていた。
結末こそエンタメ・ゴジラ映画だったが、それはむしろおまけで、コンセプトは政治映画だったか(汗)。