2015年 日本 120分
監督:前田司郎
出演:二階堂ふみ、 小泉今日子
ふきげんな二階堂ふみ。 ★★★☆
二階堂ふみと小泉今日子が演じる2人の、奇妙な人間関係を描いた作品。
普通ではあり得ないような出来事が、ありふれたことのように淡々と描かれていて、それこそ奇妙な感触の作品となっていた。
女子高生の果子(二階堂ふみ)はいつも不機嫌な顔をしている。
今は夏休みなのだが、それこそ死にそうなほどの退屈な毎日を過ごしている。
彼女は、北品川で変な豆料理の食堂を営む家族と暮らしている。
そんなある日、18年前に死んだはずの伯母・未来子(小泉今日子)が突然戻ってくる。
ええっ、伯母さんどこで生きていたの?
二階堂ふみが演じる女子校生の名前が”果子(かこ)”。”過去”と引っかけて、上手くタイトルをつけたものだ。
そういえば、小泉今日子の役名は”未来子(みきこ)”だった。
ビニール傘を引きずって歩く果子の姿が、いかにもやる気がなさそうで、世間に拗ねている感じ。
上手い。
どうやら未来子は昔は爆弾闘争に関わっていたらしく、そのために死んだことにして逃亡生活を送っていたようなのだ。
今も彼女に怪しげな(過激派?)男が連絡とってきたりする。
果子ちゃん、爆弾の作り方を教えて上げようか。
おいおい、女子高生にそんなことをそそのかしてもいいのかよ。
果子のいとこに小学生のカナがいるのだが、この子がまた変わった子。
妙に大人びているかと思うと、常識がまったく欠けたような大胆さも見せたりする。
物語のよいアクセントとなっていた。
登場人物たちの会話も妙にずれたりしている。
相手の存在を借りて自分が独り言を言っているだけのようで、相手と真に繋がろうとは思っていないようなのだ。
不機嫌なのでそうなってしまうのか、それとも、そんな生き方だから不機嫌になってしまうのか。
(以下、ネタバレ気味)
未来子は果子に、本当はあたしはあんたの母親だよ、と告げる。
果子が、なんで私を捨てたの?と尋ねると、邪魔だったからさ、とあっけらかんと答える。
果子の求めるものはそこにあった?
冒頭で果子は、運河に鰐がいると言って騒いでいるおばさんをぼんやりと眺めていた。
こんな運河に鰐がいるわけないじゃん。
ところが、ラスト近く、運河には本当に鰐がいたのだ。
この現実にはあり得ないようなことが起こったのは、何かの啓示? それとも妄想?
さて、「未来が判ってしまうからつまらない」と呟いて不機嫌だった果子。
どこか判らない部分がある”未来”に出会うことによって、少しは不機嫌でなくなったのだろうか。