1965年 アメリカ 208分
監督:キング・ビダー
出演:オードリー・ヘップバーン、 ヘンリー・フォンダ、 メル・ファーラー
文芸大河ドラマ。 ★★★
トルストイの同名長編小説の映画化。
3時間20分の長尺だが、それでも原作のボリュームを考えれば大幅にはしょっているのだろう。
原作は読まないままでの鑑賞なので、映画だけの評価・感想となる。
舞台は19世紀の帝政末期のロシア、モスクワ。
あのナポレオンに率いられたフランス軍のロシア侵攻の時代。
上流階級の人たちの野望や恋心が描かれていく。
貴族の私生児ピエール(ヘンリー・フォンダ)、その親友アンドレイ(メル・ファーラー)、そして伯爵令嬢のナターシャ(オードリー・ヘップバーン)。
この3人を中心に物語がすすむ。
もちろん、フランス軍とナポレオン軍との戦闘場面も描かれる。
ナポレオンのモスクワ占拠や、その後に続く冬のロシアからの過酷な撤退の様子も描かれる。
しかし、映画の主軸はナターシャの恋模様だった。
そうなのだ、この映画は徹頭徹尾ヘップバーンのための映画。
もちろん私はヘップバーンのファンである。
彼女が出ていなければ、おそらくこの映画も観なかっただろう (汗)。
しかし、彼女が演じたナターシャは、あまりにも軽はずみな恋に翻弄されすぎていた。
妻を亡くしたばかりのアンドレイに恋をしたかと思うと、彼の不在中にはプレイボーイの手練手管に引っかかって駆け落ちしようとする。
ピエールに駆け落ちを止められると、アンドレイに謝罪するばかり。
そしてアンドレイが亡くなると、ずっと自分を支えてくれていたピエールの存在にやっと気づく。
精神的に幼かったヒロインの成長譚ととることもできるのだが、それにしても、どうかなあといったところ。
お金をかけた大作だということはよく判る。
制作者としては、あの名作「ドクル・ジバゴ」あたりが念頭にあったのではないだろうか。
しかし、どうも内容が薄かった。
文芸大作とは言い難い出来となっていた。残念。
(ヘップバーンなので☆ひとつおまけです 汗)