あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです(苦笑)。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。

「ローマに消えた男」 (2013年)

イメージ 1

2013年 イタリア 94分
監督:ロベルト・アンドー
出演:トニ・セルヴィッロ、 ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ

入れかわりドラマ。 ★★★☆

違う人生を歩んでいた双子の兄弟が入れ替わって、それぞれ相手の人生を経験する。
時にみる設定のドラマである。
無邪気な少女ものでは、「ファミリー・ゲーム/双子の天使」などというのもあった。
(あの映画のリンジー・ローハンは、本当に可愛かった)

さて、この映画。
野党の書記長という重責のエリンコは、人気も凋落しており、神経質。ついにある日、彼は失踪してしまう。
困った秘書のアンドレアは、その替え玉として双子の兄のショヴァンニを連れてくる。
大学教授で教養もある兄だが、どうやら最近まで精神科病院に入院していたらしい。
さて、どうなる?

アンドレアが心配していたジョバンニだったが、記者の質問にはユーモアたっぷりで切り返すし、演説は大衆の心理を鋭く把握して、人気は急上昇する。
党利党略などとは無縁の自由な観点からの言葉が、よかったのだろう。
ついには、身代わりであることを知っているアンドレアにも、あなたのような人に投票したい、とまで言わさせてしまう。

一方のエンリコはパリにいた。
そして昔の恋人ダニエルの家に転がり込んで、これまでとはまったく違う生活を始める。
ついにはダニエルの仕事である映画撮影の雑用係まで始める。
こうして、映画は二人のそれぞれの生き生きとした様子を交互に映していく。

イタリアの名優と言われるトニ・セルヴィッロが、この性格が対照的な双子の兄弟を一人二役で演じている。
これが実に上手い。
はじめは二人の表情から、二人をきっちりと演じ分けている。
しかし、そのうちにどちらからともなく二人は似てくるのだ。
もちろん顔は一緒なのだが、表情や仕草などの違いを見せていたのに、思わず混同しそうになってくるのだ。
彼は、美しいミステリー映画「湖のほとりで」のあの味のある刑事さんだった。
やはりすごい俳優だ。

ロベルト・アンドー監督の作品としては、少し変わった趣のサスペンス「そして、デブノーの森で」があった。
あの映画も心理描写が巧みだった。
そして、元恋人のヴァレリア・ブルーニ・テデスキもどこかで観たことがあるな、と思っていたのだが、フランソワ・オゾン監督の「ふたりの5つの分かれ道」のヒロインだった。

原題は「自由に乾杯」。
新しい人生を生きている二人の様子からは、この原題のままでもよかったのではないかとも思える。
でも、確かにこちらの邦題の方が人目は引きそうだ。

(以下、最後に触れます)

この二人の入れかわり人生はどうなる?
エンリコはときおり元の世界の人たちに無言電話をかける。迷いがある?
そもそもエンリコとジョバンニは20年以上も会わないでいたほどに仲違いをしていたのだ。
二人の過去には何があった?

ある日、エンリコはダニエルの家から去っていく。どこへ?
同じころにジョバンニも自宅から姿を消してしまう。どこへ行った?
必死に捜すアンドレア。

やがて部屋の中に戻っているジョバンニを見つけるアンドレア。
しかし、様子が少し変わっている?
ドアの隙間から覗き見をしているアンドレアに向かって、ジョバンニ(?)はニヤッと笑う・・・。

とても上質の、少しコメディ要素も交えた、人間ドラマでした。
トニ・セルヴィッロの演技をみるだけでも価値のある映画ですよ。