2011年 香港 106分
監督:ジョニー・トー
出演:リッチー・レン、 デニス・ホー
金融恐慌に遭う人たち。 ★★☆
この映画、ジョニー・トー監督作なのに金融ものなのである。
それも3つの物語が描かれる群像劇。
へえぇ~。トー監督もいろいろ撮っているのだなあ。
マンションを購入しようと熱心な妻にちょっと困っているチョン警部補。
おいおい、お金はどうするんだ? 俺は仕事で忙しいんだよ。
成績不振で追い詰められている銀行の金融商品担当のテレサ。
なんとか契約を取らなくては。
後ろめたいけれど、リスクに疎そうなこのおばさんに危険な金融商品を契約させてしまおう。
逮捕された兄貴分の保釈金を工面するため奔走するヤクザのパウ。
羽振りのいい昔なじみに金を借りることができて、よかったよかった。
お金にまつわるあたふたぶりというものは、第三者からは少し滑稽にも見えるもの。
本人たちにとって大問題であればあるほど、そんな感じは強くなるというもの。
それが上手くあらわされていた。
3人の中で一番印象的なのはパウ。
ヤクザなのだが真面目そのもの。必死になって(いい加減な)兄貴分のためにかけずり回る。
少し愚鈍にさえ見える頑張りぶりが見ていて辛くなるほど。
物語は時間軸をずらして展開されたりもする。
テレサの顧客が大金を残したまま殺されてしまう。このお金のこと、誰も知らないわ・・・。
この顧客から金を奪おうとしたのは、昔なじみにそそのかされたパウだったりする。
市井の人々がそんなお金問題で翻弄されているときに、ギリシャの債務危機から始まった世界的な金融危機が起こる。
彼らもまたそのあおりを喰らっていく。
私の大事なお金はどうなったの?
株価の大暴落が起こったかと思うと、その反発が起きたりもする。
雑多なにぎわいの香港の夜の街で、それぞれの人生がそれぞれの決着をつけて映画は終わっていく。
いつものトー監督作のような銃撃戦の美学はありませんが、面白い映画でした。