あきりんの映画生活

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「64 ロクヨン」(前編)(後編) (2016年)

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前編 2016年 121分 : 後編 2016年 119分
監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市、 綾野剛、 永瀬正敏、 緒方

警察ものサスペンス。 ★★★☆

原作は警察小説を得意とする横山秀夫
タイトルの”64”とは、昭和天皇崩御によって7日間で終わってしまった昭和64年のこと。
そこから、その7日間に起こった未解決の少女誘拐殺人事件をさす符号として使われている。

その事件から14年が経ち、時効まであと1年となったところから映画は始まっている。
主人公は、元刑事で今は県警広報部の三上(佐藤浩市)。
その事件が蒸し返されるように、警察庁長官が視察に訪れ、被害者の父親と面会する予定となる。
なぜ、今ごろになって警察庁長官がわざわざやってくる? 何かあるのか?

映画は、警察広報部と記者クラブの持ちつ持たれつの関係、そこで派生する実名報道の問題なども描かれている。
まったく知らない世界なので、ふ~ん、そうなんだ、という感じではある。
それに警視庁と県警の上下関係や不祥事の隠蔽体質問題なども描かれていて、非常に重厚感があった。

いくつもの賞を取った原作は大変に面白く読んでいた。
警察内部の対立、たとえば警務部と刑事部の縄張り争いの構図とかは、原作を読んでいたおかげでよく理解できた。
この辺りは他業種にはないことなので、警務部と刑事部の違いなどは、映画だけではわかりにくいかも知れない。

さて、警察庁長官の視察の直前になって、新たな誘拐事件が発生する。
しかもその犯人は、14年前に起きた”64”をなぞるように身代金運搬の指令を出してくる。
これは?

俳優陣はみな重みがあってそれぞれの役柄を好演していた。
主役の佐藤浩市はもちろんだが、被害者の父親の永瀬正敏も好演。
佐藤の上司役の三浦友和もよかった。
あと、緒方直人や吉岡秀隆瑛太もよかった。

昭和64年というと電話が固定電話や公衆電話から携帯電話へと変わる少し前。
固定電話が当時の誘拐事件に大きく関わっていた。

(以下、ネタバレ)

警察の失態で録音し損なった犯人の声を聞いたただ一人の人物、それは被害者の父親だった。
そこからの父親の執念が凄まじい。
電話帳の端から順に一軒づつ何年もかけて無言電話をかけて、犯人の声にたどりついたのだ。

最後に近づくにつれて映画はすこし焦って物語をすすめているような感じもした。
前編のじっくりとした描き方に比して、後編はやや上滑りな部分もあった。
しかし、そんなことは抜きにして、とにかく好くできた映画でした。