1963年 アメリカ 120分
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ティッピー・ヘドレン、 ロッド・テイラー
ご存じパニック映画。 ★★★
今さらながらと言われてしまいそうだが、ヒッチコックの「鳥」である。
ずっと以前に観たような気もするのだが、それはスチール写真の記憶で、観たような気になっているのかもしれない。
物語はあまりにも有名なので、だれでも知っていると思う。繰り返すことはしない。
当時としては最先端の合成技術もつかっているとのこと。
しかし、やはり今の目から見れば稚拙であることは致し方ない。
なにしろ55年前の映画である。
それでも退屈せずに2時間を見せるというのは、やはり大したものだと思う。
異様に鳥が増えて、人間を監視しているような恐怖感はよく出ていた。
ところどころでおかしな部分もあった。
パニックになったヒロインの驚く顔が、3回ぐらいのストップモーションで捉えられる。
これは現場で俳優がストップした瞬間を撮っているとのこと。
でも、これ不自然で、ギャグかと思ってしまったほど(苦笑)。
ティッピー・ヘドレンは金髪の、いかにもヒッチコック好みの女優さん。
女優としてのキャリアはなかったのだが、ヒッチコックに見出されたらしい。
「めまい」のキム・ノバックの髪型を彷彿とさせるし、グレース・ケリーに雰囲気が似てもいる。
(以下、ツッコミ 汗)
今回観て驚いたのは、この映画はなんと不条理であることか、ということだった。
鳥が突然人間を襲い出す理由は、結局わからずじまいである。
したがって、その対処法もなければ、最後まで事件の解決策もない。
映画の最後で、主人公たちはただ厄災の街から逃げ出すのみなのである。
なにも解決はされていないのである。
理由もなく鳥に襲われる恐怖。
この映画はただその一点にだけ的を絞った映画だった。