1999年 アメリカ 158分
監督:マイケル・マン
出演:アル・パチーノ、 ラッセル・クロウ、 クリストファー・プラマー
骨太の社会派ドラマ。 ★★★☆
インサイダ-とは内部告発者のこと。
実話を基に、巨大タバコ企業の悪とその隠蔽工作を告発する人のドラマ。
報道番組のプロデューサーのバーグマン(アル・パチーノ)に匿名の書類が届く。
それは、あるタバコ企業の極秘ファイルだった。
これはニュースになるぞとにらんだバーグマンは、その書類の記述の信憑性を確かめようとして、ワイガンド(ラッセウ・クロウ)という人物を知る。
ワイガンドは巨大タバコ企業の副社長だったのだが、経営者の方針に反対したために突然解雇されていた。
う~ん、タバコ企業の悪いところについては、言いたいことは山ほどあるぞ。
しかし企業は自社に不利益となるような情報を他者に提供することを禁じている。
ちゃんと誓約書もとっている。これに違反すれば裁判沙汰にされてしまう。
そりゃ、退職した者が、その途端に企業秘密を公開し始めては、会社はかなわない。
これは企業にとってみれば不可欠の自衛手段だろう。
自衛官なども国防に関わる事柄の守秘義務は一生ついて回ると聞いたことがある。
こうして、内部告発は、会社と交わしたこの守秘義務と真っ向からぶつかるわけだ。
社会正義にために内部告発しようとすれば、企業はこの守秘義務を盾に巨額な賠償金を請求してくるだろうし、何よりも罪にとらわれてしまうのだ。
これは辛いよなあ。
それでもバーグマンは、なんとかしてワイガンドに企業が画策していたことを告発して欲しいといろいろと策を練る。
ワイガンドは元々は良心的な真面目な科学者だったのだろう。
それが生活のために、というか高給に心を奪われてタバコ産業に転職したのがいけなかった。
真面目人間であればあるほど、タバコ産業がしている悪どい企業戦略が許せなかったのだろう。
バーグマンはついにワイガンドの告発インタビューをおこなう。
さあ、これが放送されれば悪どいタバコ産業に大打撃をくらわせることができるぞ。
しかし、企業は資本力に物を言わせて、放送しようとしたTV局そのものに圧力をかけてくる。
はたして告発はできるのか。
さすがにパチーノとクロウの存在感は、どちらも素晴らしかった。
(以下、ネタバレ)
我が身の損得勘定なしでタバコ企業を告発したワイガンドは偉い。
そしてバーグマンも信念の人だった。
最後、ワイガンドのインタビュー記事を放送することができたにもかかわらず、バーグマンは会社を辞めていく。
今回は最終的には幸いにも上手くいったが、次回はどうなるか判らない訳だ。
情報提供者を絶対に裏切らないという信念でやってきた彼には、もうそれが絶対にできるかどうかが判らなくなってきた訳だ。
である以上は、これから先をおこなうことはできない・・・。
どこまでも信念の人だ。格好いい。
煙草のパッケージに、煙草を吸うと貴方の健康を損ねますよ、という警告文の表示が義務づけられたのは、この事件がきっかけだった?
好い映画でした。