2018年 アメリカ 107分
監督:クレア・マッカーシー
出演:デイジー・リドリー、 ナオミ・ワッツ、 クライブ・オーウェン
「ハムレット」を彼女の視点で。 ★★☆
ポスターはまるで剣劇いっぱいの冒険活劇映画のような雰囲気だが、そんなものではなくて、シェイクスピアの戯曲「ハムレット」をベースにした史劇もの。
冒頭は、オフィーリアといえば誰でもが思い描くミレーの絵画のシーン。
水の中に体を横たえて亡くなっていくオフィーリアのモノローグから始まる。美しい。
有名な悲劇をオフィーリア(デイジー・リドリー)を主人公にして描いている。
物語の進行は、「ハムレット」をほぼ忠実になぞっている(ようだ。何しろうろ覚えなので・・・)
平民の娘オフィーリアだったが、その聡明さから王妃(ナオミ・ワッツ)に気に入られて侍女になる。
そして王子ハムレット(ジョージ・マッケイ)はオフィーリアに心を奪われる。
一方、国王であるハムレットの父は、邪悪な心の弟クローディアス(クライヴ・オーウェン)に殺され、しかも横恋慕していた王妃をたぶらかして結婚してしまう。
父を殺され、母を奪われ、国までとられてしまったハムレット。どうする?
デイジー・リドリーといえばもちろん「スター・ウォーズ」シリーズのレイ。
あちらでは凜とした女闘士だったが、今作では可憐なヒロイン役。しかし、フォースを封印しても凜とした雰囲気はそのままで好かったぞ。
ハムレットが何とも頼りなかった。なんとも女々しい感じ。
もし二人が結婚していたら、絶対にオフィーリアに頭が上がらない恐妻家のハムレットになっていただろうな。
物語としては、これ、どうなの?という部分も少なくない。
だいたいが、身分が違いますと言ってハムレットの求愛を断るオフィーリアなのだが、そのわりに城中では自由に振る舞っている。
その言動は侍女にしてはやり過ぎなのではないかい?
それに、城中の奥まった広間に外部者でも容易に入っていけてしまうようなのだ。衛兵は何をしているんだ?
ま、それはともかくとして。
イベントの舞踏会がおこなわれる。こういったときに男女ともに仮面をつけているのに見慣れてきた。
今作では、仮面ではなく顔面ペイント舞踏会だった。面白い。
目の周りを緑色に塗ったオフィーリアがきれいだった。
有名なハムレットの台詞、「修道院へ行け!」はオフィーリアの身の安全を考えてのことだった。なるほど、そうだったのか。
もう一つの有名な台詞、「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」はなかったなあ。
ハムレットは誤ってオフィーリアの父を殺してしまい、彼女の兄とハムレットが決闘して邪悪な弟王の奸計で二人とも死んでしまい、息子が殺されたことを怒った王妃が弟王を刺し殺し、そこへ敵国が攻め込んでくる。
「ハムレット」ってこんな展開だったのか。知らなかったなあ。
それほど深いものはありません。
デイジー・リドリーの魅力を確かめるため(だけ)の映画でした。
彼女のファンなどうぞ、といったところでしょうか。