あきりんの映画生活

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「マイ・ルーム」(1996年)魂胆があるから、彼女はあなたに親切にするのよ 

1996年 アメリカ 99分 
監督:ジュリー・ザックス
出演:メリル・ストリープ、 ダイアン・キートン、 レオナルド・ディカプリオ
    ロバート・デ・ニーロ

壊れた家族の修復ドラマ。 ★★☆

 

母子家庭であくせくと生きているリー(メリル・ストリープ)。
しかし、そんな余裕のない精神状態で、おまけに少なからず自分勝手な母親に、長男ハンク(レオナルド・ディカプリオ)は反抗的だったのだ。
17歳の彼は鬱屈した気持ちから家に放火してしまい、矯正施設に収容される。

 

家を失い、次男と共に修道院に身を寄せていたリーに、20年間も音信が途絶えていた姉のベッシー(ダイアン・キートン)から電話がかかってくる。
ベッシーは白血病に冒されており、親族からの骨髄移植だけが唯一の希望だという状況だったのだ。
リーは反抗的なハンクを施設から連れ出し、家族3人で姉の元へ向かう。

 

ディカプリオが初々しく魅力的。
そりゃ彼が22歳だから若いはず。「タイタニック」で大ブレイクする前年の映画である。
「ギルバート・ブレイク」で見せていた魅力がそのまま溢れていた。

 

そしてメリル・ストリープが本当に観ていて苛々するような嫌~な感じの母親を演じている。
多分に自己チューで居丈高。ところ構わずに(医者がここは禁煙だといっても無視して)煙草を吸う。
ここまで嫌に思わせるということは、やはり上手いのだろうな。

 

かたや姉のベッシーは結婚もせず、認知症になって起き上がることもできない父の介護をしてきたのだ。
そんな家族を見捨てて家を飛び出していったリーとの間には複雑な感情があったのだ。ああ、そうなるだろうな。
人が好くて、自分の病に恐れおののいていて、でも人には心底優しく接するベッシーを、ダイアン・キートンがおずおずとした雰囲気で演じていた。
こちらも上手い。

 

母には反抗的なハンクだが、ベッシーの裏表のない優しさに次第に心を開いていく。
それなのにリーは、あんたにドナーになって欲しくて親切にしているだけよ、とうそぶく。
嫌~な性格だねえ。

 

リーは、ベッシーとハンクが親しくなっていくのに嫉妬を感じる。
なんで母親の私には反抗的なのよ!

 

姉妹は本音の感情をぶつけあう。そのことによって少しずつ打ち解けていく。
ベッシーは自分の初恋を語り、リーは(美容師見習い)抗がん剤で脱毛してしまったために着用している姉のかつらを洒落た髪形にカットしてやる。
このあたり、観ていて始めて気持ちが和んでくる。

 

さて適合検査の結果はどうなったか?

 

(以下、ネタバレ)

 

結局、ハンクも適合検査の結果からドナーにはなれなかった。
映画ははっきりとした結末は見せずに終わっていく。
ベッシーの病については楽観できないことになったわけだが、リーが吹っ切れて覚悟を決めたようだったので、あれからは温かい人間関係で過ごしたのだろうな。

 

メリル・ストリープダイアン・キートンという2大女優、それに若かりし日のディカプリオ。
佳作です。