2023年 日本 133分
監督:瀬々敬久
出演:佐藤浩市、 横浜流星、 橋本環奈
ボクシングもの。 ★★★
コミックでもボクシングものは好きである。
ベスト3をあげろと言われれば、「がんばれ元気」、「はじめの一歩」、それに「あしたのジョー」である(歳がばれてしまうチョイスだが)。
本作は沢木耕太郎の同名小説(未読)。
沢木のことだから、真正面からボクシングに打ち込む2人の男の人生を描くわけだ。
40年ぶりにアメリカから帰国してきた元ボクサーの広岡仁一(佐藤浩市)。
彼は心臓の病を抱えていて、残りの人生の使い道を探すために故郷へ戻ってきたようだった。
そんな彼とふとしたことから拳を交えた翔吾(横浜流星)は強烈なクロスカウンターを広岡にもらい、俺にボクシングを教えてくれと頼み込んでくる。
二人ともかつて不公平な判定で負けたことがあったのだ。
最初は渋っていた広岡だが、かつてのボクシング仲間である次郎と佐瀬に背中を押されて引き受けることに。
ここからは一直線のボクシングものとなる。
広岡がかつて世話になっていたジムの秘蔵っ子が現・日本チャンピオン。
まずはこいつを倒さなければ。
翔吾にほのぼのとした彼女(橋本環奈)ができたりもするのだが、そのあたりは駆け足気味だった。
原作ではもっとじっくりと書かれているのだろうが、映画の限られた時間ではそこまでは無理だったのか。
少し残念。
翔吾が日本チャンピオンに挑戦する。そしてその勝者が世界チャンピオンに挑戦することとなる。
判りやすい筋立てである。チャンピオンとの確執とかをからませて、それをどう見せてくれるか。
スポーツもの、格闘ものでは、役者に要求される身体能力も半端なものではない。
横浜流星は中学生の時に空手の世界大会で優勝したことがあるとのこと。
さらに、本作に出演するためにボクシング練習をおこない、なんとプロテストに合格したとのこと。
本気度が凄い。それは身体の動きによくあらわれていた。
広岡のかつてのボクシング仲間に片岡鶴太郎と哀川翔。
特に片岡鶴太郎が独特の味わいをみせていて、よかった。
彼もスポーツ、後にヨガに打ち込んでいるが、若い頃にボクシングのプロテストに合格している。
クライマックスは20余分に及ぶ世界タイトルマッチの場面。
ここはすごい迫力で押し切ってくる。もうこの試合場面を観るだけにこの映画を観てもよいぐらい。
(以下、ネタバレ)
そして、ついに出たっ、広岡と翔吾を結びつけたあのクロスカウンター! なのである。
何も付け加えることはない。
ひとつだけ不満を。
それは映画が悪いのではなく原作者の沢木が悪いのだが、・・・タイトルが好くないっ!
これでは最後の場面は、映画を観る前から判ってしまっているではないか。
たぶんこうなるのだろうなと想像したとおりの絵柄だった。