あきりんの映画生活

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「ワールド・オブ・ライズ」 (2008年) いいか、私には絶対に嘘をつくなよ

2008年 アメリカ 128分 
監督:リドリー・スコット
出演:レオナルド・デカプリオ、 ラッセル・クロウ

中東問題サスペンス。 ★★★

 

あの9.11事件以来、アメリカの敵はすっかり中東イスラムになった。
アメリカの平和を守るためにイスラムのテロ組織をやっつけろっ! 
なんか、設定の似た映画が増えていた。
かつての冷戦時代のソ連なんて、もうどこにも出てこない。

 

さて本作は、国際的テロ組織のリーダーをCIAが捕獲しようと画策するもの。
主人公のひとりは、中東で常に死と隣り合わせの任務をおこなっているCIA工作員のフェリス(レオナルド・ディカプリオ)。
そしてもうひとりが、フェリスの上司のホフマン(ラセル・クロウ)。
彼は安全なアメリカの本部や自宅などからフェリスに指示を送ってくる。
ときには幼い子供たちの相手をしながら、ときには優雅に食事をしながら、だ。

 

くそっ、俺は埃まみれで危険な任務をしているというのに、あいつはのんびりと家庭生活を楽しみながら命令だけしてきやがる。
そう、この映画は対照的な環境のふたりを並列に描いているところが眼目になっている。

 

直情的で熱い行動派のフェリス。冷酷で沈着な頭脳派のホフマン。
この二人、理解し合っているのかいないのか、仲がいいのだか悪いのだか。
おそらくは互いに相手の本質を好く見抜いているのだろう、だからこそ仲良くはなれないのだろう。

 

中東ロケをふんだんに使った映像は迫力がある。爆発場面も半端ではない。
それに上空のドローンのカメラを駆使したCIAの詳細な監視場面。今はあんなに鮮明にして地上の様子をモニターできるんだなあ。

 

バクダッドなどでの任務を経て、テロ組織リーダーが潜んでいるヨルダンに舞台が移る。
そこでフェリスはヨルダン情報部のハニ(マーク・ストロング)の協力をあおぐこととなる。

 

このハニは上品で紳士っぽいのだが、最後まで冷静冷酷。
結局一番油断のならない奴だった気がした。
黒髪ふさふさのマーク・ストロングが雰囲気を出していたなあ。

 

さてヨルダンでフェリスは、狂犬病予防のワクチンを打ってくれた看護師のアイシャに惹かれていく展開となる。
つけたりの恋物語部分かと思っていたら、どんどん比重が大きくなっていった。
緊張ありまくりの中東サスペンのなかで、この恋物語はちょっとバランスが悪かった気がする。

 

まあ、それはさておき。
みんな目的のためには人を人とも思わないようなことを平然とおこなう。
ハフマンは言わずもがななのだが、フェリスも無関係のエージェントが敵の標的となるような計画を立てるし、ハニもフェリスを騙すためにアイシャを拉致したりする。
もう味方だろうが利用するためには騙し騙され、嘘ばかり。

 

中東のあちらことらに舞台は移動し、物語もかなり入りくんでくる。
それというのも各自が偽情報を流したり、秘密を抱えたりするせい。今、本当はどうなっている?

 

確かに見応えはあった。
しかし、今ひとつすっきりしなかったな、というのが正直な感想でした。