あきりんの映画生活

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「大名倒産」 (2023年) 大借金っ!ええ~っ!

2023年 120分 日本 
監督:前田哲
出演:神木隆之介、 杉咲花、 佐藤浩市

コミカルな時代劇。 ★★☆

 

原作は浅田次郎の同名小説(未読)。
こんな小説も書いていたのだなあ。しかし、文庫本では上下2巻の長さとのこと。
彼のことだから人情話なのだろうが、そんなに長く書くことがあったの?

 

舞台は江戸時代、越後の丹生山藩というところ。
平穏に暮らしていた下級役人の息子の小四郎(神木隆之介)は、ある日突然に丹生山藩主の跡継ぎだと知らされる。ええっ~!
しかも実父の一狐斎(佐藤浩市)は、小四郎に国を任せて隠居してしまう。

 

いきなり藩主への大出世をした小四郎だったが、実は丹生山藩は25万両(今の金額にすれば100億円というところか)の借金を抱えていた。
ええ~っ! 大借金っ! 驚く小四郎。
この借金を何とかしなければ、藩主はその責任をとって切腹だぞ。ええ~っ! そんなあ~。

 

ちょんまげ姿の神木隆之介はそれだけでどこかコミカルな雰囲気だった。
どこから見ても気の弱い善人である。
特攻隊の生き残り役(「ゴジラ-1.0」です)のような凜々しさを封印して、巻きこまれた騒動に右往左往する。
それでも、藩主となったからにはすべては民のために、と頑張る。どこまでも善人である。

 

責任を小四郎に押しつけた父の一狐斎だったが、なあに、借金の返済日に藩が倒産宣言をして踏み倒せばよいだけのことじゃ、という案を持ち出してくる。
でも、そんなことが本当に出来る? 
幕府は怒って、やっぱり藩主は切腹になるんじゃないの?

 

大借金の裏には当然ワルの陰謀が渦巻いている。
キムラ緑子扮する金貸しは花魁のような妖しげな格好をしていて、はじめは誰か判らなかった(苦笑)。
それにこういった筋書きの場合、必ず登場する悪老中に石橋蓮司。もう鉄板のワルぶりである。
そしてもう一人は実の父の一狐斎。佐藤浩市も正義の人から狡がしこい人まで演じて、どれも様になるのだからたいしたもの。

 

家臣の3兄弟をひとりで演じた梶原善(3人の顔のほくろの位置が違う)がバタバタとしかめっ面で笑わせてくれた。
うつけ者の兄役の松山ケンイチも、こんな役も上手いものだなと感心。
小四郎の幼なじみの町娘役に杉咲花。彼女もどんな役どころでも違和感なく演じてみせる。たいしたもの。
(しかし、一介の町娘が藩の中枢部に入り込んで指図をするって、あり得ないんですが・・・ 苦笑)

 

さて物語。小四郎は周りのみんなの協力で藩の財政再建に乗り出す。
参勤交代を経費節約のために野宿でおこなってしまうって、どうよ(笑)。
さらに、大借金の裏の悪事を暴いていく。
やっぱりこんな裏があったのか。

 

こういった筋立ての王道の展開で、意外などんでん返しとかとは無縁だが、安心して観ていられた。
肩の力を抜いて、ほっこりとしたい気分の時にでも鑑賞を。