あきりんの映画生活

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「パーフェクト・ケア」 (2020年) 悪女vs.マフィア

2020年 アメリカ 118分 
監督:J・ブレイクソン
出演:ロザムンド・パイク

悪徳後見人のお話。 ★★★

 

マーラ(ロザムンド・パイク)はやり手の法定後見人。
本来の法定後見人の仕事といえば、判断力の衰えた高齢者の代わりにさまざまな手続きをしてあげる崇高なもの。
もうボランティア活動のようなイメージもあるほど。

 

の筈なのだが、マーラは悪徳医師や悪徳介護施設と結託して高齢者たちから資産を搾り取る悪徳後見人だった。
金持ち老人を合法的にケアハウスに入所させてしまい、残された家屋をはじめとして全財産を奪い取ってしまう。
電子煙草をぷかぷか吹かして、ワルだなあ。

 

黒川博行の小説に「後妻業」というのがあった(確か映画化もされたはず 未見)。
あちらは、奥さんに死に別れた資産家老人と色仕掛けで再婚し、遺産を奪い取るというものだった。
善良な資産家老人を食い物にしようとする輩は洋の東西を問わずにいるわけだ。

 

主役のロザムンド・パイクといえば、「ゴーン・ガール」での悪女のイメージがこびりついている。
この映画でもとんでもなく胸くその悪い女を演じている。
あまりに狡がしこくて嫌~な女なので、途中から出てくる敵役のマフィアをつい応援したくなってくるほど。
この女をぎゃふんと言わせてやってくれ。
・・・あれ、主人公はロザムンドの方だよな?

 

さて、マーラの次のターゲットは、身寄りのない孤独な老資産家のジェニファー。
嘘の診断書で裁判所のお墨付きをもらったマーラは、早速ジェニファーを施設に隔離してしまう。
さあ、金目のものも家もみんな売ってしまいましょ。

 

ところが、あれ? いつもと勝手が違うぞ。
なんで切れ者弁護士がジェニファーのことを確かめに来るんだ? しっかり調べて身寄りはないはずなのに、誰が彼女のことを気にしているんだ?
そういえば、ジェニファーの顔つきをよく見ると、ただの老婆の顔じゃないぞ。
ほくそ笑んでいるのあの表情の裏には何があるんだ?

 

実はジェニファーはロシア・マフィアのボスの母親だったのだ。戸籍も巧みに作り替えたものだったのだ。
ボスの命令を受けたマフィアの手下が施設に乗り込んできて、平気で人を殺してでもジェニファーを奪い返そうとする。

 

こりゃ、普通はビビる展開だよねえ。
しかしマーラは、手を組んでいた悪徳医師が警告のように殺されてもひるまないのだよ。
もう憎々しいほどに冷静にマフィアに対抗しようとするのだ。

 

もちろん彼女自身も殺されかける。
必死で逃げ延びるマーラ。頑張るねえ。
そして反撃に出るマーラ。すごいねえ。
恐れを知らないのか。マーラの根性のすわったあの性悪さは潔いほどだった。

 

言ってみれば、強欲な悪徳後見人と家族愛に溢れたマフィアとの争いだった。
どちらも悪人なのだけれども、より悪いのはどちらなんだ?

 

貴方はどちらに肩入れをして観ていましたか?(笑)
ロザムンド・パイク、もうこれで善人の役は絶対に回ってこないと思うよ。