あきりんの映画生活

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「あの日の指輪を待つきみへ」 (2007年) お前、わがまま過ぎるのではないかい?

2007年 アメリカ 
監督:リチャード・アッテンボロー
出演:シャーリー・マクレーン、 クリストファー・プラマー、 ミーシャ・バートン

運命に流される恋愛物語。  ★★☆

 

描かれるのは、第二次世界大戦がはじまる1941年と、50年後の1991年。
二つの時代を行き来しながら物語が進む。
ひとりの(頑なな)女性と、彼女をそれぞれに愛した3人の(純情な)男性たちの物語。

 

冒頭は1991年の葬儀場面。
エセル(シャーリー・マクレーン)の長年連れ添った夫チャックの葬儀だったのだが、何故か彼女は醒めた雰囲気だったのだ。
夫婦の長年の親友だったジャック(クリストファー・ファーマー)が慰めるのだが、やはりエセルは素っ気ない。
どうして?

 

そんなエセルのもとに、アイルランドに住む青年からの電話が入る。
親切な青年は、ベルファストの丘で彼女の名が刻まれた指輪を見つけましたよ、と告げる。
はて、その指輪は・・・?
何も語ろうとしないエセル。そこで娘マリーはジャックに尋ねるのだが、彼もまた何も語ろうとはしなかった。

 

時代は50年前の1941年にさかのぼる。
若く美しいエセル(ミーシャ・バートン)は3人の青年、チャック、ジャック、テディと青春を謳歌していた。
3人はそれぞれにエセルに恋をしていたのだが、彼女はテディと将来を約したのだ。そんな二人を祝福するチャックとジャック。

 

この若い頃のエセルを演じるミーシャ・バートンが本当に華やか。
調べてみると、子役として「ノッティングヒルの恋人」や「シックスセンス」に出ていたとのこと。
しかしこの映画に出た後はいろいろと問題を起こすお騒がせ女優でもあったようだ。
なんか残念だな。

 

さて。戦争が始まり、3人の青年はそれぞれに出征する。
そしてテディが搭乗していた爆撃機アイルランドで墜落し、彼は亡くなってしまう。エセルの名前を彫った指輪と共に・・・。
しかし戦地に赴く前にテディは、親友のジャックとチャックと一つの約束を交わしていたのだ。

 

巨匠と言われたアッテンボロー監督の遺作である。
50年の時をはさんで、一つの指輪にまつわる男女の運命を描いていた。
そこに爆撃機が墜落した現場に居合わせたアイルランドの青年の思いも絡んでくる。
そして1990年代始めのアイルランドでのIRA組織によるテロ行動も絡んでくる。

 

実はテディは、もし自分が戦死したらチャックにエセルと結婚してくれるように頼んでいたのだ。ジャックもそれに協力してくれ、と。
その約束を守ってエセルはチャックとの穏やかな結婚生活を送ってきたのだった。
しかしエセルは・・・。

 

シャーリー・マクレーンの、愛敬がある顔立ちなのにどこかで醒めてしまっている雰囲気がよく出ていた。
初老のクリストファー・プラマーはダンディおじさん。
ずっとエセルを慕いながら他の女性との遍歴をたどってきた。抑えた恋心が切ないぞ。

 

だから、こうして3人の男性の純粋な恋心に支えられたエセルの思いは、どこか自己チューでわがままなものに思えてしまった(汗)。
そりゃあ、最愛の人を失った彼女の悲しみも判るが、だからといって残された2人の男性に甘えすぎだったのではないかい。

 

この映画の前に観た「エイジ・オブ・イノセンス」の女性の恋心と、思わず比べてしまったぞ。