2011年 アメリカ 105分
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:マット・デイモン、 ローレンス・フィッシュバーン、 ジュード・ロウ
ケイト・ウインスレット、 マリオン・コティヤール、 グウィネス・バルトロー
疫病パニックもの。 ★★★
ものすごい感染力と致死性をもったウイルスが世界に蔓延していく様を描いている。
無駄な人情ドラマを極力排除して、ドキュメンタリー風に、1日ごとの世界各地の感染状況を伝えてくる。
その状況の中で生きていこうとする人々を描いているのだが、これがまたすごい顔ぶれ。
中国旅行をして感染源となった妻(グウィネス・バルトロー)と息子があっという間に亡くなってしまい、残された夫(マット・デイモン)と娘。
感染症の実態を調査に行き自分も感染してしまう女性医師(ケイト・ウインスレット)。
大恐慌の中で感染対策とワクチン開発の陣頭指揮を執る医師(ローレンス・フィッシュバーン)。
騒ぎに乗じて、民間療法が有効だというねつ造記事を流して金儲けを画策するフリー記者(ジュード・ロー)。
ワクチンを入手しようとした貧しい人たちに誘拐されるWHOの医師(マリオン・コティヤール)。
ね、すごい顔ぶれでしょ。
世界中が死と隣り合わせになった日常社会で、人はどう行動する?
感染拡大を防ぐために働いていた自分が感染源になってしまったウインスレットは、最後まで高潔で可哀想なぐらい。
家族のために、つい自分の立場を利用して便宜を計ってしまうフィッシュバーンの行動は当然、非難されるべきことなのだが、その心情は判るところがある。
(福島原発事故のときに、これと似た行動をとった**幹部、**学者はきっといただろうと思う)。
最後にちょっとした仕掛けがしてある。
映画は感染騒動の”2日目”から始まったのだが、映画の最後にその”1日目”、すべての騒動の発端を映しだされる。
何でもないようなことで、世界中があっという間に危機に見舞われたわけで、なるほどと思わされた。ここはソダーバーグの才気だな。
どこまでも真面目に作られていて、全体的には地味な印象の作品です。
しかし、いったん感染が起これば本当にこんなことになるんだろうなあと思わせて、引きずり込まれて見終わった。
ソダーバーグって、こういう撮り方もするんだなあ。