2011年 アメリカ 101分
監督:ジョージ・クルーニー
出演:ライアン・ゴズリング、 フィリップ・シーモア・ホフマン、 ポール・ジアマッティ、
ジョージ・クルーニー、 マリサ・トメイ
選挙参謀人のドラマ。 ★★★
資産王トランプ氏の意外な健闘で大揺れのアメリカ大統領の予備選挙。
その真っ最中なので、その題材のこの映画を鑑賞。
うん、身が入るぞ(笑)。
大統領選の民主党候補のモリス(ジョ-ジ・クルーニー)。
彼の陣営の総参謀が遣り手のポール(フィリップ・シーモア・ホフマン)、そして広報係に若いが切れ者のスティーブン(ライアン・ゴズリング)。
選挙の鍵を握るオハイオ州での代議員投票が近づいている。
アメリカの大統領選挙制度はちょっと分かりにくい。
投票人をえらぶという間接選挙だったり、副大統領とのペアでのたたかいだったりするのだが、そのあたりが日本人にはよく判らない。
まあ、いいや。この映画はその投票そのものの駆け引きではなく、それを画策する人間同士の駆け引きのドラマ。
相手陣営の参謀ダフィを強面迫力満点のポール・ジアマッティが演じている。
シーモア・ホフマンとポール・ジアマッティ。なるほどと思わせるすごい顔合わせだ。
どちらも一筋縄ではいかない腹の奥底を隠し持っている雰囲気が、ぷんぷん。
こんな連中が策を練るのだから、清廉潔白な戦いですむはずがない。
さて主役は、モリスの人柄に傾倒し、信じて選挙活動を頑張るスティーブン。彼をゴズリングが精悍に演じている。
しかし、そんな彼に相手陣営のダフィが甘い罠を仕掛けてくる。
あんたんとこの大将モリスは負けるぜ、今のうちにこちらに寝変えらんか?
そうか、敵のダフィも俺の力を認めているのか、悪い気はしないな。ふむふむ。
こうしてスティーブンの中の正義が揺らぎ始めていく。
ポールにいたっては、目的はとにかく雇ってくれた人物を選挙で勝たせること。
雇い主の信条なんかどうだっていいのだ。
選挙はただのゲームみたいなもの。それも、どんな汚い手を使っても勝ちさえすりゃいいゲーム・・・。
やがて、スティーブンは美しい選挙スタッフとも親密な関係を持ってしまい、ところが、深夜にその彼女に電話をしてきた人物は・・・。
スティーブンは次第に純粋な気持ちを失っていく。
それにしても、ダフィて、なんて嫌な奴なんだ。画策することがあくどいぞ。
それにくらべればポールの方がまだ筋が通っていたか。
フィリップ・シーモアの演技にはどことなく哀愁が漂う感じもあるし。
この映画の副題は「正義を売った日」。
選挙なんて、特に立候補者ではなく参謀などは、正義を売っても構わないと思える人にしかできないのかもしれない。
最後、無表情にこちらを見つめているゴズリングが印象的だった。