2017年 中国 129分
監督:チェン・カイコー
出演:染谷将太、 ホアン・シュアン、 チャン・ロンロン
伝奇ミステリー。 ★★
チェン・カイコー監督が空海を撮る、と聞けば、これは一大史劇かと思ってしまう。
しかし、まったく違った。
なにせ原作は伝奇小説の覇者、夢枕貘の「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」(長編小説である!)である。
あまり敷居を高くしないで観るべき映画だった(汗)。
舞台は、栄華を誇った唐の時代。
遣唐使として長安にやってきた空海(染谷将太)は、詩人の白楽天(ホアン・シュアン)と一緒に怪事件に遭遇する。
ふたりは事件を解明しようとするが、そこには黒猫の姿が見え隠れしていた。
舞台の長安の街並みはCGではなくセットとのこと。お金をかけている。時間もかけている。
しかし、これがあの「さらば、わが愛 覇王別妃」を撮ったチェン・カイコーの作品か?というのが、偽らざる感想。
表面上は華やかな画面作りなのだが、物語はいかにも薄っぺらい。
後半になって登場してくるのが楊貴妃(チャン・ロンロン)。
空海たちが解明しようとしている謎は、数十年前に亡くなった楊貴妃の悲劇からつながっていたのだ。(美しき王妃というのは、もちろん楊貴妃のこと)。
つい先日、「楊貴妃」という映画も観た。
こちらはファン・ビンビン演じる楊貴妃の悲劇を真正面からとらえた映画だった。
両方を見較べると面白い(個人的には、チャン・ロンロンよりはファン・ビンビンの勝ち! 笑)
最後まで物語は取って付けたようであった。
伝奇物は決して嫌いではないのだが、あまりにも浮ついていた。
前半から登場してくる不思議な西瓜売りなど、そうか、という部分もあったのだが、ちょっとがっかりであった。
それにしても、この邦題は酷い。副題も酷い。
原題は”妖猫傳”といったところ。なるほど、納得。
ただそのままの題では観客が来ないだろうと、配給会社が考えたことも判る気はするのだが(苦笑)。