あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「風にそよぐ草」 (2009年) 理解不能な、恋物語?

f:id:akirin2274:20220105221419j:plain

2009年 フランス 104分
監督:アラン・レネ
出演:アンドレ・デュソリエ、 サビーヌ・アゼマ

老いらくの恋? ★★☆

 

引ったくりに遭ってバッグを奪われた歯科医のマルグリット(サビーヌ・アゼマ)。
金を抜き取られて捨てられていた彼女の財布を拾って警察に届けたのが初老のジョルジュ(アンドレ・デュソリエ)。
彼は財布に入っていた飛行機免許証の写真を見て、マルグリットに執着するようになる。

 

マルグリットは財布を届けてもらったお礼の電話をする。
しかし、秘かにマルグリッドに会いたいと思っていたジョルジュは、その期待がかなえられそうになくて、貴方にはがっかりだと激しい非難の口調で電話を切ってしまう。
なんだ、この一方的な爺さんは?
そしてその直後にはそのことを後悔したジョルジュは彼女への手紙を書く。
その手紙をマルグリッドの家の郵便受けに入れたあとに、その手紙を取りかえそうとしたりもする。
ジョルジュは何をやってんだ? 何を考えているんだ?

 

アラン・レネ監督といえば、あの不条理映画の傑作「去年マリエンバートで」を撮っているし、ヌーベルバーグ映画としては「24時間の情事」があった。
そのレネ監督が90歳近くになって撮ったのが本作。
なに? こんな映画を撮るのか? やはり常人ではないなあ。

 

一言で言ってしまえば、老いらくの不条理恋愛物語。
どこが不条理かといって、男の心理も女の心理も、見ている者の理解や共感をまったく振り捨てている。
これが不条理と言わずしてどうしよう。

 

ジョルジュは相手の気持ちなどまったく無視して、自分勝手に行動する。
そして自分の思い通りにいかないと腹を立てて暴言を吐く。
そして直ぐにそのことを後悔して後先考えない行動をとるものだから、ますます事態は紛糾する。
観ていても、もう、この爺さんにはついて行けないよ。

 

それなのに、マルグリットはそんなジョルジュに惹かれて行くのだ。
どうして? あんなことを言われたのに・・・。
どうして? あんな態度をとられたのに・・・。
私のような常識人にはとても理解不能な男女の気持ちの交流がおこなわれる。

 

途中で何度もタイトルどおりの「風にそよぐ草」が映される。
男と女の心理状態なんて、こんな風に風にそよいでいるものなのだよ、ということ?
原題を直訳すると、”狂った雑草”? そんなもの?

 

ラストでは、マルグリットがジョルジュと彼の奥さんを自分の操縦する小型飛行機に乗せて空覧を楽しむ。
しかし、アクロバット飛行をするうちに・・・。そしてそのまま、Fin。
最後まで何とも呆気にとられる映画でした。