2022年 アメリカ 137分
監督:ロバート・エガース
出演:アレクサンダー・スカルスガルド、 アニヤ・テイラー=ジョイ、 ニコール・キッドマン
北欧舞台の復讐譚。 ★★☆
舞台は9世紀の北欧のある王国。
叔父に父王を殺され、母(ニコール・キッドマン)も連れ去られたアムレート(アレクサンダー・スカルスガルド)は復讐を誓う。
祖国を脱出した彼は、バイキングの一員となって復讐の機会をうかがっていた。
空はいつも曇り空。風はいつも冷たく、雪や氷も日常生活とともにある。
そんな中での恨みに燃えた復讐譚であるから、明るいはずがない。いつも暗いのである。
これは暗い空と暗い海を背景にした、暗い心の復讐譚の映画なのだ。
叔父が支配するアイスランドに、アムレートはわざと奴隷になって乗り込んでいく。
さあ、復讐を果たすぞ、最愛の母を叔父の手から奪い返すぞ。
同じ奴隷の身であるオルガ(アニヤ・テイラー=ジョイ)の助けもあって、さあ、やるぞ。
アニヤ・テイラー=ジョイは、「アムステルダム」で印象的な悪女を演じていた。
しかし、今作では予言もおこなうヒロイン役で物語の要となっていた。
存在感のある女優さんだな。
途中には、どうやら北欧神話に基づく逸話が挿入されているようだ。
オーディン、ヴァルハラ、ヴァルキリーなど、言葉だけは聞いたことがあるようなことが出てくる。
こういった背景をもっと知っていると、物語がより深く感じられたのだろうな。
副題は「導かれし復讐者」。
映画全体の雰囲気は、筋肉マッチョの荒くれ争い事映画といったところ。
あまり女性向けではないのでは、と思える。
さてクライマックス。
宿敵も倒して、探し求めていた母との再会。えっ、それなのに・・・。
おいおい、ニコール・キッドマンよ、それはないんじゃないかい。慕っていた息子の身にもなってやれよ。
イーサン・ホークが冒頭で殺される父王役で出ていた。
なんかもったいない使い方だなあ。友情出演?
そしてウィレム・デフォー、出ていた? どこに? 判らんかったぞ。
終始、色彩も単彩色だったような印象の画面でくり広げられる荒々しいバイキングの復讐譚。
気持ちが和むような映画ではありません。
ガツンと、岩のように固い映画を観たいときに。