2003年 イギリス 135分
監督:リチャード・カーティス
出演:ヒュー・グラント、 リーアム・ニーソン、 アラン・リックマン
エマ・トンプソン、 キーラ・ナイトレイ
クリスマスを迎える群像劇。 ★★★★
久しぶりに観たが、やはり好いなあ。
クリスマスが近づいたロンドンが舞台で、いろいろな愛や恋に悩んだり喜んだりする人々を、9つのエピソードを織り交ぜて見せてくれる。
秘書に恋をしてしまったイギリス首相に扮するのがヒュー・グラント。
ヒューが首相なんて、真面目なんだけれども頼りなさそうでとてもそんな柄ではない。
けれども、その頼りなさげなところがヒューだけあって好いんだよなあ。
「ラブソングができるまで」でも踊っていたが、この映画でもヒューが腰振りダンスを披露している。
彼の腰振りダンス姿はなんとも愛嬌があって、これを見ると嬉しくなるんだよなあ。
ヒューとちょっとだけからむアメリカ大統領役に、アンジーの元・夫のビリー・ボブ・ソーントン。脇役だけれど、へえぇ~。
妻に先立たれて、残された義理の息子と気持ちを通い合わせる良いお父さん役にリーアム・二ーソン。
同じ父親役でも「96時間」とは全く違う穏やかなお父さん(笑)。
リーアムはこういう雰囲気の方が似合っていて無理がないと思うんだが。「特攻野郎」よりも、ね。
若く色っぽい女子社員の誘惑に負けそうになる会社社長がアラン・リックマンで、そんな夫の浮気心に気づいてしまった妻がエマ・トンプソン。
このエピソードはちょっとシリアスで(浮気心がばれないかとおどおどしているアランは愉快だったが。それに、あのビーンが脇役ながら宝石売り場で実にいい味を出していた)、妻の気持ちはわかるなあと、つい感情移入。
そのエマはヒューの弟だったりするし、アランを誘惑する女子社員は、ヒューが恋をした秘書の隣の家に住んでいたりする。
こんな風にエピソードの出演者がクロスするのも、群像劇の楽しみのひとつ。
エマの子供たちも、秘書の甥たちも、リーアムの義理の息子も、同じ小学校に通っていたりするし・・・。
そのほかに、精神を病んでいる弟の世話で自分の恋がなかなか上手くいかないオールド・ミスとか、クリスマス・ソングに起死回生を掛けている往年のロック・スターとか。
ビル・ナイ扮するこのロック・スターは、シモネタ満載で口が悪いんだが、栄光を手にした時に、自分を支えてくれていたデブのマネージャーの元へやって来たりして、好い奴なんだよね。
そのほかに、ウブな恋を始めるポルノ映画の出演者カップルとか、女の子にもてようとしてアメリカに行くお調子者とか、言葉の通じないポルトガル女性に恋をしてしまった作家とか。
親友と結婚したキーラ・ナイトレイに片思いをしていたアーティストの話も切なかった。
彼が撮っていた結婚式のビデオを見て、彼の思いにキーラが気づくところが好いし、彼が思いを伝える”紙芝居”の場面は圧巻。
どのエピソードもありがちな話なので、一歩間違えるとクサくなるところだが、あるときはユーモアで、あるときはシリアスで、上手くまとめている。
135分と少し長めだが、変化にも富んでいるので、一気に観ることができる。
よほどのへそ曲がりでない限りは、誰でもが気に入る作品ではないだろうか。