あきりんの映画生活

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「主人公は僕だった」 (2006年)

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2006年 アメリカ 112分
監督:マーク・フォスター
出演:ウィル・フェレ、 マギー・ギレンホール、 ダスティン・ホフマン、 エマ・トンプソン

不思議ファンタジー。 ★★☆

国税庁の検査官ハロルド(ウィル・フェレ)は、規則正しい毎日を送る平凡な男。
ところがある日、自分の行動を語る誰かの声が聞こえてくるようになる。
どうもそれは自分を主人公にした小説が朗読されているようなのだ。その朗読の通りに自分の行動はされている。
これはどうしたことだ?

これは確かに面白い発想。
小説作法(小説の書き方)の場合に必ず問題になるのは、”神の視点”をどうするかということ。
大部分の小説では、登場人物たちの行動や感情を(読者のために)解説してくれる記述が、地の文としてある。
これが神の視点と呼ばれるもの。
映画の場合も、画像を撮っているのは”神の視点”といえるのだろう。
(わざと誤解させるように撮る場合も当然あるわけだが。)
この設定そのものを物語にしてしまっている。

奇妙な声が聞こえてくることにおたおたととまどうハロルドを、ウィル・フェレが押さえた演技で上手い味わいを出している。
彼が恋をするパン屋さんにマギー・ギレンホール
それほど美人とは思わない彼女だが、キャラは明るく純粋で好かった。
税金滞納の督促に来たハラルドのためにわざわざパンを焼いてくれるところなんか好かった。

そのうちに小説を語る声は、ハラルドがいずれ死ぬ運命にあることを告げる。
こりゃ大変だ。殺されてはかなわない。
こんな小説を書いている人を探しだして、なんとか物語を変えてもらわなくては・・・。
でも、誰もそんなことを信じてはくれない。そりゃそうだ。

自分が誰かの小説の主人公になっていると知って相談をする作家役にダスティ・ホフマン。
貫禄充分なホフマンなのだが、無責任な忠告を真面目ぶってするのが微妙に面白い。
そして登場人物で一番好かったのは、ハラルドを主人公にした小説を書いている作家役のエマ・トンプソン
長いスランプだったけれど、今度は傑作が書けそうよ。
自分の書いている小説のせいで誰かが死ぬなんて、そんなこと考えてもいない。そりゃ、そうだ。

実はこの物語、なぜ小説に書かれたことが実際のこととして起こってしまうのか、などという説明は一切なし。
そういう意味ではあくまでもファンタジー
さて、自分の運命を知ってしまっているハラルドがとる行動とは?

ひねりのきいた筋立ての映画でした。
きっちりと物事に説明がつかないと落ち着かないという人には、あまり向いていないかもしれませんが(苦笑)。