1981年 フランス
監督:アラン・ドロン
出演:アラン・ドロン、 アンヌ・パリロー
ドロンのための私立探偵もの。 ★★☆
アラン・ドロンといえば、ノワールものでギャング、殺し屋、刑事、私立探偵といった役どころでもお馴染みだった。
この映画は、そのドロンが私立探偵の主役はもちろん、監督までやってしまったという、もう彼を観るための映画。
元刑事のシュカス(アラン・ドロン)の探偵事務所に行方不明の娘を捜して欲しいという依頼が来る。
しかしその依頼者は何者かに狙撃されてしまい、シュカスの周りには怪しい人物がうろつき始める。
謎はかなり入り組んでいて、登場人物も多い。
サスペンスものとしてはかなり本格的な筋書きを持っている。
銃撃戦も随所に入るし、殴打場面も多い(痛そう・・・)。
高速道路を逆走してのカー・チェイスもあり、アクション場面も力が入っている。
しかし、この映画の魅力は、それらのサスペンス、アクションをつなぐ軽妙な主人公たちのやりとり。
洒落たユーモラスな冗談を言い合う。う~ん、さすがフランス映画(笑)。
中でも好かったのは、シュカスの探偵事務所の秘書兼愛人シャルロット役のアンヌ・パリローの存在。
彼女がとてもコケティッシュで魅力的。
あっけらかんとしていて(天然ボケ?)、なにくれとシュカスを助けてくれる。好いなあ。
調べてみたら、なんと、9年後にはあのリュック・ベッソンの傑作「ニキータ」のヒロインだった。へえ~。
シュカスの銃創の手当をシャルロットがする場面がある。
痛がるドロンに、シャルロットは「ベルモンドならそんな声は出さないわ」と言うのだよ(笑)。
事件が解決した最後、全身打撲・骨折で顔面から手足までギブスだらけで病院のベッドに横たわるシュカス。
病室から帰ろうとした仲間の刑事に、シュカスはギブスの先端にわずかに見えている手足の指先を全部振る。
なんとユーモラスで、可愛いことか。