あきりんの映画生活

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「カサンドラ・クロス」 (1973年)

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1973年 イタリア 128分  
監督:ジョリジ・バン・コスマトス
出演:リチャード・ハリス、 ソフィア・ローレン、 バート・ランカスター、 エバ・ガードナー

列車サスペンス。 ★★★

タイトルの「カサンドラ・クロス」とは、ニュールンベルグからポーランドのヤノフに向かう支線に掛かる古い鉄橋の名前。
そこは廃線になってから長い年月が経ち、今にも崩れ落ちそうな状態となっている。

さて物語りは、極秘事項であった研究で作成していた細菌兵器がこぼれてしまったというのが発端。
怖ろしい感染力を持つこの細菌への対抗治療法はまだない。
そして感染者が大陸横断列車に乗り込んでしまった。列車は感染源に・・・。

細菌兵器開発の事実を陰蔽しようとして、アメリカ陸軍情報部は、その秘密を載せた大陸横断列車をカサンドラクロスに誘導する。
列車を谷に落として、1000人の乗客の命とひき換えに秘密を守ろうとするわけだ。
カサンドラ・クロスがそんな危険な場所とは知らない列車は爆進していく。
さあ、どうなる。

冷徹な命令を下すアメリカ軍司令官にバート・ランカスター
列車に乗り合わせた神経科医師にリチャード・ハリス、彼の元妻の女流作家にソフィア・ローレン
それにエヴァ・ガードナーマーティン・シーン、はてはあのO・J・シンプソンまで顔をそろえるという豪華キャスト。

人為的に起こされたパニックものといったところで、列車に乗り合わせた人びとの人間模様もきちんと描かれて、好くできている。
われわれは抹殺されるのではないかと気づいた乗客たちは、鎮圧に乗り込んできた軍隊と銃撃戦も始める。
列車を止めようと、窓枠を伝って運転車両へ行こうとしたりもする(おお、「アンストッパブル」だ!)。

出演者では、ソフィア・ローレンがとにかく華やかで美しい。
この映画のプロデューサーが当時のローレンの夫だったとか。美しく撮らせるはずだわなあ。

カサンドラ・クロスでの映像は、いかんせん、今から見ればすぐにミニチュア撮影と分かる幼稚なもの。
35年以上前の映画であることを思えば致し方ない(でも、やはりちょっと興ざめ 汗)。

それ以外は音楽も好くて(ジェリー・ゴールドスミス)、充分に楽しめる。
ただ、リチャード・ハリスたちが最後近くにおこなった決断は、やむを得なかったこととはいえ、あれでいいの?という気持ちにさせる。

最後の場面、事件が終わって去っていくバート・ランカスターの後ろ姿が映る。
そこに誰かがおこなっている電話での報告の声が重なる。
権力が持つ恐ろしさが不気味であった。
生き残った人たちのその後の運命は、果たしてどうだったのだろう?