あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「月世界旅行」 (1902年)

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1902年 フランス 16分
監督:ジョルジェ・メリエス

SF映画の幕開け。 ★★★★

少し不気味な顔の描かれた月。その目に大砲の砲弾が突き刺さっている印象的な写真は、知っていた。
この映画がそれ。
あらためて観てみると、やはりこれはすごい作品である。

1902年の16分の短い作品。
しかし、当時はドキュメント・タッチの数分の映画しかなかったのだから、物語があり、この長さの映画というのはすごいことだったわけだ。
原作はお馴染みの(小学生男子の心をつかんで離さなかった)ジュール・ベルヌ

ストーリーとしては、科学者6人が乗り込んだロケットが大砲で撃ち出されて月の目玉に命中する。
月には地底人のような原住民がいて、探検隊は捕まってしまう。
探検隊はそこから脱出して、地球の海に落下して戻ってくる、というもの。

長くモノクロのものしかなかったようだが、カラー版が見つかり、入念に修復されたとのこと。
カラー版と言っても、白黒で撮ったフィルムに一こまずつ手彩色を施したとのこと。
気の遠くなるような作業であるが、その色彩はノスタルジックで、とても良い感じ。
我が国の明治時代の絵はがきで白黒写真にて手彩色を施したものがあるが、あの感じ。

荒唐無稽としか言いようのない展開。
月の崖から落ちると、ちゃんと地球の海に戻ってこられるという、この発想もすごい。
ジュール・ベルヌの原作も優れていたのだろうが、映像にあらわされたイマジネーションに感嘆する。

映画を愛でる人なら、一度は観ておくべき作品でしょう。
たった16分のためにDVDを借りるのも、とためらっている方への情報 : ちゃんと「メリエスの素晴らしき映画魔術」というドキュメンタリーも一緒に収められています(笑)。