2016年 オーストラリア 119分
監督:ガース・デイヴィス
出演:サニー・パワール、 デヴ・パテル、 ニコール・キッドマン、 ルーニー・マーラ
永い迷子の人間ドラマ。 ★★★☆
あらすじとしては・・・
5歳の時に迷子になったインドの少年サルーは、オーストラリア人夫婦の養子として遠く離れた地で育てられた。
成人したサルーはグーグル・アースを駆使して生家を見つけ出し、25年の時を経て実の家族と再会する。
嘘のような実話をもとにした映画。
さて。
貧しい一家の家計を助けようとサルーの兄は駅の力仕事にでかけようとする。
サルーも何か手伝いたいといって兄に着いていくのだが、駅で兄とはぐれてしまい、扉が開いていた貨物列車の車内で寝てしまう。そして遠い地に運ばれてしまう。
前半、迷子となったサルーは何とかして家に帰ろうと必死に彷徨う。
彼は延々と走りつづけた回送貨物列車で数千キロも離れた場所に行ってしまっていたのだ。
広いインドでは、それだけ離れれば言葉も違う。
まったく異国といっていい地で一人で生き抜いていくサルー少年。
この言葉も通じない地で、不安と戦いながら生き抜いていくサルーが好かった。
5歳といえば、日本でいえば幼稚園年長組ぐらい。
私の8人の孫の中では**ちゃんと一緒だ。**ちゃんがそんな目に逢ったら・・・。
しかしサルーは裕福な夫婦(妻がニコール・キッドマン)の養子となることができた。
オーストラリアできちんと勉学にも励み、恋人(ルーニー・マーラー)もいて、満ち足りた生活だった。
それでもやはり本当の母に会いたい、故郷の村をもう一度訪れたい。
サルー、どうする?
タイトルにある”ライオン”にはどういう意味があるのだろうと思っていた。
再会した母親が、サルーという名前は”ライオン”という意味なのだよ、と教えてくれたのだった。
インドでの貧しい環境下での迷子の数は、膨大なものだという。
その中で、サルーのように裕福な里親に巡り会えるのはごく一部の子どもだけだろう。
恵まれた例と言えるのだろう。
しかしそれでも、数奇な運命を必死に生きた主人公の姿にはうたれるものがあった。
(ネタバレ)
最後に字幕でその後の様子が説明される。
25年前にサルーがはぐれた兄は、その日に別の列車に轢かれて亡くなっていた。
なんという運命の皮肉だろうか。