あきりんの映画生活

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「パスト・ライブス/再会」 (2023年) 少女の私をあなたに置いてきたわ

2023年 106分 アメリカ・韓国合作 
監督:セリーヌ・ソン
出演:グレタ・リー、 ユ・テオ

恋愛もの。 ★★☆

 

家庭の海外移住のために離れ離れになった幼なじみ二人の物語。
24年が経ってニューヨークで再会した二人が過ごす7日間の物語。
甘~い恋愛ものかと思っていたが、結構シビアな内容だった。

 

韓国・ソウルに暮らす12歳の少女ノラと少年ヘソンは、互いに幼い恋心を抱いていた。
しかし、ノラ一家はアメリカに海外移住してしまう。
12年後にノラのことが忘れられなかったヘソンはSNSで彼女を探す。そしてオンラインで再会を果たした24歳の二人は、昔話で盛り上がる。
しかし、ニューヨークとソウルでそれぞれの人生を歩んでいた二人の関係はそこまでだった。

 

さらに12年が経ち二人は36歳となっている。
ノラは作家のアーサーと結婚していた。ヘソンはそのことを知りながらも、ノラに会うためにニューヨークを訪れ、二人はやっとめぐり合う。

 

二人はおずおずとハグをするのだが、それは愛情ではなく友情のハグ。
しかし、人妻になっていると知りながらわざわざ会いに来るヘソンて、どういう心境だったのだ?
ノラの夫になっているアーサーだって困るよなあ。どう接すればいいんだ?

 

ヘソンとノラが楽しそうに交わす韓国語が判らないアーサーは蚊帳の外。少し可哀想。
それにしても、言葉にはしないまでもヘソンがいまだに自分に気持ちを寄せていることを感じながらも、はっきりとは拒まないノラもどうだかなあ。

 

タイトルのパスト・ライブスは”前世”ってこと。
そして”イニョン”という言葉が会話の中に出てくる。これは日本語で言えば”縁起”のことで、輪廻転生の概念に近いような気がする。
しかし、ヘソンとノラにイニョンがあるのだったら、アーサーとノラにだってイニョンがあるはず。
アーサーをないがしろにするのはおかしいのではないかい。

 

ということで、私はあまりこの物語には惹かれなかった。
まあ、ヘソンが女々しい。未練たらたらなのが丸見え。
それに引き替えナヨンはある部分を残しては醒めている。
別れた男はいつまでも過去を振り返り、別れた女は明日しか見ない、という諺がある。
その通りなのだよな。

 

最後近く、ヘソンが昔の幼い恋心のことを蒸し返す。
ナヨンが答える、あの頃の私はもういないわ、少女だった私をあなたに置いてきたのよ。
これは好い台詞だな。

 

ポスターの惹き文句には「今年のアカデミー賞最有力作」とあったが、それほどのもの?
それほど突出した作品には思えなかったのだが・・・。