2001年 ドイツ
監督:サンドラ・ネットルベック
出演:マルティナ・ケデック
心が優しくなるほのぼの系。 ★★★★
一流の腕を持つマーサはフランス料理店の女性シェフ。仕事は優秀だが自分に閉じこもってしまう性格で、自ら食事を楽しむこともないような生活を送っている。
そんな彼女の姉が事故死し、その娘リナをマーサが引き取ることになるが、お互いの気持ちはぎくしゃくとしている。おまけに職場には陽気なイタリア人シェフ、マリオがやってきて、ことごとくマーサと衝突する。
ドイツ映画に漠然と抱いていた厳ついイメージを払拭させるパステル・カラーのような柔らかい肌触りの映画。
中年にさしかかったヒロインのきりっとした美しさが良い。
そして、最初は反目していたマリオだが、彼の飾り気のない人柄によってマーサが次第に変わっていく。
他人に対して武装していたようなその美しさを損なわずに、不必要な武装を次第にといていく過程が自然に描かれていた。
姪のリナは母が事故死してから食事を拒否して、マーサを困らせていた。
しかし、マリオが、俺の分を残しておけよ、といってパスタの皿をリナにあずけて、自然に食事をとらせる場面はこの映画の真骨頂。
一度は離ればなれになった姪を迎えに行くときの、「誰だって暖かいイタリアよりは、寒いドイツで気の利かないおばさんと暮らす方を選ぶさ」と言うマリオのセリフも洒落ていた。
ストーリーはベタだが落ちついた画面構成で、観て良かったと思える作品。
音楽はキース・ジャレット。たしかアルバム「マイ・ソング」の中の曲だったはず。
キャサリン・セタ・ジョーンズの「幸せのレシピ」はハリウッド・リメイク版。
さて、こちらはどうか?