あきりんの映画生活

映画鑑賞だけのブログです。★★★★が満点評価ですが、ときに思い入れ加算があります。約2000本の映画について載せていますので、お目当ての作品を検索で探してください。監督名、主演俳優名でも検索できます。

「ナイン・シガレッツ」 (2003年)

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2003年 メキシコ 90分
監督:ウーゴ・ロドリゲス
出演:ディエゴ・ルナ

悪いことが連鎖するサスペンス。 ★★★☆

 

メキシコのある街の一夜の出来事。
9人の男女が煙草を吸ったり、我慢したりしながら、不幸の連鎖を繰り広げていく。
原題は「ニコチン」。
この不幸はすべてニコチンがもたらしたのか? まさかね。

 

ちょっと内気なロロ(ディエゴ・ルナ)は腕のいいハッカーで、隣の住人アンドレアに片思いをしている。
どれぐらいの片思いかというと、彼女の部屋に隠しカメラを仕掛け、盗聴器を仕掛け、生活をのぞき見しているぐらい。
おいおい、そこまでやったのではヤバイいんじゃないの。
しかし、ディエゴ・ルナがイケメンなので許されてしまいそう(汗)。

 

そのロロに、ネネは巨大銀行の口座のアクセスコードを盗むことを依頼する。
ネネとその仲間のトムソンは、そのアクセスコードと引き換えにロシア・マフィアとダイヤを交換する手はずになっていた。

 

こうして悪事に荷担する人たちが夜の中で蠢く。
ところが盗映がアンドレアにバレてしまったロロは、慌てた拍子に銀行のアクセスコードの入ったCDとアンドレアを隠し撮りしたCDを間違えてしまう。
それとは知らずにマフィアとの交渉現場に赴いたネネたち。

 

おい、これは違うんじゃねえか、こらっ。俺たちを舐めてんのか、こらっ。
その結果、ネネたちはマフィアに追われて夜の街を逃げ回る。
ごめんよ、僕が持ってくるCDを間違えたんだ。ちょっとした間違いだったんだよ。

 

悪事を描いたサスペンスものなのだが、どこかユーモラスに物語は進む。
時に画面分割があったりして、同じ時刻にこちらではこんなことが起こっていて、という見せ方もする。
またポイントになる部分(こっそり鍵をかけた手、とか、警官が見つけそうな現場に垂れた血、とか)は判りやすく注意を促してくれる。
テンポもよく物語は進む。小気味よい。

 

さて、マフィアに撃たれて怪我をしたネネは夫婦で営業しているドラッグ・ストアに逃げこむ。
禁煙中でイライラして妻に暴言を吐きつづける夫と、静かに耐えている妻。
そこにもマフィアはやってきて・・・。

 

一方、こちらも怪我をしたマフィアの一人がたまたま入った理容室。
ここの煙草好きの奥さんは不甲斐ない亭主に愚痴ってばかりいる。
で、この理容室でも、ちょっとした気の迷い、手違いからとんでもない不幸が連鎖していって・・・。

 

それまでまるで無関係に暮らしていた人々が、ある事柄をきっかけに次々に関係していく。
こうした形の群衆劇は好きである。
それにしても、たまたまパトロールしていた警官はお気の毒。
それに、魔が差したのだろうが、ダイヤを独り占めしようとする理容室の高飛車な奥さん、怖い!


次々にみんな死んでいってしまう。
さて、取引に使われようとしていたダイヤはどうなった?
一人生き残って部屋に戻ってきたロロはどうなった?

実は冒頭で、ロロが無意識におこなう煙草を吸いながらのある行動が映っていた。

最後にロロのその行動がすべてに決着をつける。なるほど。

 

 

あまり評判にはならず、我が国では劇場未公開だったようですが、これは掘り出し物でした。
メキシコでは、映画界最高の賞で12部門ノミネート、6部門で受賞したとのことです。
また、メキシコ映画ジャーナリスト賞では最優秀作品賞も受賞しています。

 

レンタル屋さんで見つけたら、ぜひ観ましょう。
損はしませんよ。