2020年 ポーランド 126分
監督:ブワディスワフ・パシコフスキ
出演:ボグスワフ・リンダ
初老男の渋いリベンジ・アクション。 ★★☆
ポーランド映画といえば、アンジェイ・ワイダ監督とかイエジー・カヴァレロヴィチ監督とか、政治映画や文芸映画のイメージだった。
これは珍しくアクションものである。
しかし、先入観があるのかもしれないのだが、映画全体に暗く陰鬱な雰囲気が漂っている。
かつて治安部隊の指揮官だったフランツが長い刑期を終えて出所してくる。
旧い友人であるモラヴィツを訪ねるのだが、その矢先に彼の息子トメクが殺される事件が起きた。
事件を知ったフランツは、友人モラヴィッツのために犯人を探し出そうとする。
元警官で正義感の強いヴィトコフスキが協力してくれて、ついに事件の真相を突き止めるフランツ。
なんと事件には汚職警官、マフィアが絡んでいた。
フランツは事件に関わる全員皆殺しを決意する。
よしモラヴィッツよ、お前の息子の敵は必ずとってやるぞ。
しかしフランツよ、お前はどうしてそんな危険なことをしてくれるんだ?
俺の命を有意義に使うためだよ・・・。
実は、フランツは出所してきたときに騙されて毒を飲まされていたのだ。
その毒によってフランツは7日間しか生きられない運命にあったのだ。
そんな毒があるのかよ、毒が効くその直前まで普通に動き回れるなんて、そんなことがあるのかよ。
・・・といったツッコミはなし。これは、もうそういう映画の設定なのだよ(苦笑)。
死を覚悟した、というか、死を怖れなくなった者ほど強いものはない。
どうせ死ぬんだからなんだって出来るぜ、イェ~イ、てなものである。
ということで、それまでは初老男の渋くも地味めなサスペンスものだったのだが、最後になってド派手な展開となる。
カーアクションはあるわ、激しい銃撃戦はあるわ、そして建物の爆破場面と続く。
これでもかと、いやあ、急にノンストップ・アクション映画になったなあ。
東欧の独得の歴史を感じさせるところも面白かった。
お前、警官時代に酷いことをしただろ。いや、あれは共産主義下だったからだよ・・・。
全体に重く暗い雰囲気もあって、それも悪くなかった。
繰り返しになるが、その暗い雰囲気も尻上がりに派手なアクションものになっていくよ。
しかし、この内容で2時間超はちょっと長かった。全体的にはやはり地味な印象だし・・・。
我が国では未公開映画だったはずです。
もう少し無駄なところを省けば好かったのに。