2019年 アメリカ 123分
監督:ロッド・ルーリー
出演:スコット・イーストウッド、 オーランド・ブルーム
タリバン相手の戦争映画。 ★★☆
アウトポストとは前哨基地のこと。
2009年に実際にアフガニスタン山間部でおこなわれた局地戦が描かれている。
圧倒的多数の敵兵に囲まれた米軍基地の兵士たちの実話を元にしているとのこと。
50人ほどの米兵が詰めていたキーティング前哨基地は、補給経路を維持するための重要拠点だったらしい。
しかし、そこは四方を山に囲まれた谷底に位置しており、常にタリバン兵からの攻撃を受ける場所でもあった。
いつ敵の銃弾が飛んでくるか判らない日常があるわけだ。
こりゃ、たまらんなあ。
出演者には、クリント・イーストウッドの息子、メル・ギブソンの息子、ミック・ジャガーの息子、それにリチャード・アッテンボローの孫がいたとのこと。
しかし誰が誰なのか、ほとんど判らなかった。
この映画では兵士の一人ひとりのドラマは描かれず、敵の攻撃に耐えたという基地の兵士たち、という捉え方なのだ。
それにしても、映画を観た誰もがおそらく思うだろうことは、いくら補給の要といってもあんな地形の場所にどうして基地を作ったのだろうか?ということ。
四方の崖上からいつでも容易に襲撃される場所であることは容易に判る。
もっと安全な場所はいくらでもあっただろうに・・・。
そしてついに敵の一斉攻撃の時がやって来る。
そんな場所だから、この終盤のタリバンの大攻撃の場面は、とにかく凄い。
こちらの兵士の10倍近い数のタリバンが一斉攻撃をかけてきたのだから、防戦するしかない。
遮蔽物に容赦なく撃ち込まれる敵の銃弾。
応戦するこちらの銃弾があちらこちらで尽きる事態も出てくる。弾を、弾をくれっ。
弾薬庫まで弾を取りに行くのも並の危険さではない。命がけ。
おい、敵は崖の中腹に新たに重火器を据え付ける準備をしているぞ。
観ているこちらも攻撃を受けているような気になるほどに、臨場感あふれる場面が続く。
そうか、実際の戦闘はこんなにも怖ろしいものなのか、と思ってしまう。
その恐怖に打ち勝つには、ある意味で正常な神経が麻痺しなければ無理なのではないかとさえ思える。
ベトナムや中東戦線からの帰還兵がトラウマを抱えたり、平時の日常に適応出来なくなるのも判る気がする。
この映画は、この基地での局地戦だけが描かれる。
エンドロールでは、演じた俳優とモデルになった本人が映るが、みんなよく似ている。
中には本人が演じた役もあったようだ。
実際の兵士たちにはそれぞれ勲章などが贈られたようだ。
ある意味では、アメリカの国威高揚のための映画、と言ってもよい作りとなっていた。
でも、あんなに激しい戦闘場面を見せられたら、やっぱり戦争は怖ろしいものなのだなあと、あらためて思うのではないだろうか。