あきりんの映画生活

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「フレンジー」 (1972年)

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1972年 イギリス
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジョン・フィンチ、 バリー・フォスター

サイコスリラー。 ★★★

 

ヒッチコックの最後から2番目の作品で、イギリスに戻って撮っている。
ロンドンで発生した連続女性殺人事件を描いている。

 

その犯人は女性を陵辱したあとにネクタイで絞殺するという手口で犯行を重ねていた。
警察もマスコミも躍起になって事件を追うのだが、一向にらちがあかない。
そんなおりに、今度は結婚相談所の女所長が殺害される。
警察は、目撃情報から被害者の元夫リチャード(ジョン・フィンチ)を犯人と断定して捜査に当たる。
困ったリチャードは、友人のロバート(バリー・フォスター)に匿ってもらう。

 

この映画では、観客には事件の真相を初めから見せている。
実は、親友面したそのロバートこそが連続殺人の犯人だったのだ。
彼がリチャードの元妻に言い寄ったあげくにネクタイで首を絞めるところも映している。
だから観客は真犯人を知った上で、限られた情報で動き回る登場人物たちの危なっかしさを見守ることになる。
そこにサスペンス感覚が生まれている。

 

あたふたとする逃げ回り、ロバートに頼っては感謝をしているリチャード。
これまでのヒッチコック映画では、濡れ衣を着せられて追っ手から逃げる主人公は善人だった。
だから観客は冤罪で逃げ回る主人公を応援をしたくなるのが通例だった。
しかし今回は、そのリチャードは自分勝手な癇癪持ちであり、とても肩入れしたくはならない人物であるところがユニークである。

 

事件の捜査に当たる刑事の日常生活も垣間見ることが出来る。
奥さんが張り切って作るフランス料理(!)がいつも実に不味そうなのである。面白い。
弱り切った刑事は、奥さんが見ていないすきに料理をこっそりと棄てたりしている。
この人の好い奥さんとちょっと情けない刑事のやりとりはコミカル部分担当だった。

 

ロバートの犯行は続く。
さて人の好い刑事は真犯人にたどりつくことが出来るのか?

 

ツッコミをひとつ。
犯人はどうしてネクタイを被害者の首に巻いたままにしておくのだろう?
犯行に使ったネクタイの柄を誰におぼえられているか判らないではないか。
そんな遺留品があるのに、その調査を一向にしない警察もどうかしているぜ。

 

事件の全容を知った上で犯人や警察の行動を見ている面白さがあった。
冤罪を着せられそうになったリチャードがもう少し好人物だったら、見ている側としてはもう少し身びいきになってハラハラした?