あきりんの映画生活

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「AVA/エヴァ」 (2020年)

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2020年 アメリカ 97分
監督:テイト・テイラー
出演:ジェシカ・チャステイン、 ジョン・マルコビッチ、 コリン・ファレル

美しい女殺し屋。 ★★★

 

美しい女性殺し屋ものはコンスタントに作られている気がする。
ちょっと思い出すだけでも、シャーリーズ・セロンの「アトミック・ブロンド」、ジェニファー・ローレンスの「レッド・スパロー」それに最近ではリュック・ベッソン監督の「ANNA/アナ」。

 

エヴァジェシカ・チャステイン)は、要人などの殺害を請け負う裏組織の暗殺者。
冒頭では要人を飛行場に出迎える運転手に扮している。
そして甘い会話を交わしながら、車が向かった人気のない山里で無表情に要人を殺害する。
彼女は殺害する前に、あなたは何故殺されるのか?と尋ねる。それはタブーとされている行為だった。

 

こうして一流の腕を持つエヴァだったが、組織のルールから逸脱した行為は見張られていた。
そして組織の幹部サイモン(コリン・ファレル)は彼女の行為を裏切りと見なすのだ。
もうこれ以上エヴァを自由にしておくことは出来ない。彼女を始末しろっ。

 

今回の「AVA/エヴァ」では、かなりヒロインの個人的な背景が描かれている。
それも非情な一流殺し屋らしからぬ、とても弱い人間としての面を露わにしている。
たとえば亡父への憎しみ、今も続く母との確執。
そして、おそらくはそれらによってもたらされたアルコール中毒症。
エヴァはかなり辛い精神状態で必死に生きてきたのだということが描かれている。

 

さらに、元カレが今は仲の悪い妹の恋人になっていたり、その元カレがギャンブル狂で多額の借金を背負っていたり・・・。
そんな風に私生活ではただの弱い人間像を見せる。
しかし、そのさらけ出された私生活の顔と、暗殺者としての非情な顔とのバランスが上手くいっていなかった。
どうにも、この手の映画に求めるヒロインの格好良さからずれているのだ。

 

だいたいが、ジェシカ・チャステインは「女神の見えざる手」でも「モリーズ・ゲーム」でも、凜とした強い女を演じてきた。
弱さをさらけ出す役は彼女には合わないと、個人的には思うのだが・・・。

 

さて、エヴァの直接の上司がデューク(ジョン・マルコビッチ)。
彼女はデュークに、実の父親には求めることが出来なかった父親像を重ねている感じだった(どこまでも弱いエヴァ・・・)。
そしてデュークも、なんとかして組織の追求からエヴァを守ってやろうとする。
飄々とした感じのマルコビッチがさすがの存在感だった。

 

エヴァの暗殺ミッション実行も何回かは出てくるのだが、結局この映画の主題はそちらではなかった。
弱さを抱えた女暗殺者が、自分の組織から狙われ、戦っていく、これがメインの物語だった。
しかし組織が追ってくるといっても、実際にはサイモンが一人でやってくるだけ。
ちょっと話がちいさすぎる感じではあった。

 

ラスト、エヴァの背後にはサイモンの娘が忍びよっていた。
あのあと、エヴァはどうなったのだろうか?

 

ということで、ジェシカ・チャステインのファンとしてはもちろん観て損はないのだが、女性殺し屋もの映画としては・・・、もうひとつ・・・だったかな?
ふと思ったのだが、ジョン・マルコビッチコリン・ファレルの役を入れ替えていたらどうだったろう?