あきりんの映画生活

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「エージェント・スミス」 (2019年)

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2019年 アメリカ 104分
監督:フィリップ・ノイス
出演:エミリア・クラーク

密告女スミス。 ★★

 

この邦題とポスター写真を見れば、誰だってスタイリッシュな美女諜報員ものだと思うだろう。
ヒロインのモノローグで映画は進むのだが、あれ、思っていたような感じではないぞ・・・。
まったく違った。すっかり騙された。

 

監督は「ソルト」や「ボーン・コレクター」を撮ったフィリップ・ノイス
ヒロインは「ターミネーター」や「ハン・ソロ」で頑張っていたエミリア・クラーク
この映画と同じ年のファンタジー作品「ラスト・クリスマス」での可憐さは私を夢見心地にさせてくれた。
とくれば、期待してしまうのも無理ないよなあ。でも・・・。

 

薬物中毒の女、スミス(エミリア・クラーク)は、売人である夫と二人の(可愛くない)子どもとすさんだ生活を送っていた。
そんなスミスは、自分の罪を帳消しにしてもらうかわりにFBI捜査官パットナムの情報提供者になっていく。
幸せな家庭を持っていたパットナムは、さらに手柄を立てたいという野心にも燃えていたのだ。

 

それだけならよかったのだが、パットナムはスミスに誘惑され肉体関係を持ってしまう。
おいおい、それは捜査官と情報提供者の間で一番してはいけない事じゃなかったのかい。
でも、みんなで座っているテーブルの下で、彼女の足が俺の股間をなで回したりするんだぜ。誘ってくるんだぜ。

 

こうして二人はずぶずぶの関係になっていく。
この映画は実在の事件を題材にしているとか。
本当にこんなどろどろの男女関係があったのだなあ。週刊誌やワイドショーが騒いだのだろうなあ。

 

スミスはすさんだ街の裏情報をパットナムに知らせていく。
ついには大がかりな麻薬搬入の情報をパットナムに教える。
組織の一網打尽に向かって張り切るパットナム。これで俺も出世するぞ。
しかし、幸せそうなパットナムの家庭生活を知ったスミスは、今度は麻薬組織にFBIの操作状況を教えてしまったりする。おいおい。

 

スミスはいったい何を望んでいたのだろうか。
DVの夫、麻薬を打ち続ける以外には明日を迎える気力もない生活。
やけくそになって、パットナムの妻に二人の関係を打ち明けても、負け犬はあなたよと馬鹿にされるだけのスミス・・・。

 

ということで、麻薬と不倫と嫉妬と、なにひとつ希望のない展開の物語。
こんな汚れ役をエミリア・クラークがよく引き受けたなあ。そのことに驚いてしまった。
いつもの愛敬のある笑顔とはまったく真逆の役柄だった。

 

この映画は冒頭に白骨化したスミスの遺体が見つかったところから始まっていた。
パットナムに殺されたスミスの思い出話として物語は展開されていたのだった。

 

映画の最後に、10年の刑を受けて出所した実際の捜査官のインタビュー映像が出た。
しかし、何を言ったところでスミスを殺して逮捕され、その心痛からアルコール中毒になった奥さんも亡くなってしまったことに変わりはない。
彼にしたら、最初に誘ってきたのはスミスの方だったんだ、って言いたいのか。
ま、どっちもどっちの自業自得というところか。

 

タイトルは「エージェント・スミス」・・・。
あの「マトリックス」の超凶暴エージェントをイメージした人もいるだろうし、ジャケット写真と相まって、誰だってこんな映画じゃないと思うよなあ。