あきりんの映画生活

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「ミラーズ・クロッシング」 (1990年)

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1990年 アメリ
監督:コーエン兄弟
出演:ガブリエル・バーン、 マーシャ・ゲイ・ハーデン、 ジョン・タートゥーロ、 アルバート・フィニー

コーエン兄弟のギャング映画。 ★★★

 

1920年代のアメリカ東部。
そこでは、レオ(アルバート・フィニー)が率いるアイリッシュ系とキャスパーが率いるイタリア系の二つのマフィア勢力が覇権争いをしていた。
主人公は、そのレオの片腕で絶対的な信頼を置かれているトム(ガブリエル・バーン)。
彼は女性問題や八百長賭博などが絡んで二つの組織の間でゆれうごく。

 

コーエン兄弟の3作目の映画。
コーエン兄弟といえばブラック・コメディ調だったり、スリラー・サスペンス的だったりというイメージが強い。
しかし本作はそれらの雰囲気は少なく、硬派なギャング映画である。
へえ、こんな映画も撮ったんだ。

 

オープニングに森の木々を見上げながら移動していく映像が映る。
そしてカメラは枯れ葉が敷き詰められた地面に置かれたお洒落なソフト帽をとらえる。
風がきて、帽子は音もなく森の奥に飛び去って行く。
大変に美しい光景で、この映像は作中でも何回か映されていた。

 

さて。
レオの手下のバーニー(ジョン・タートゥーロ)は小狡い小悪党。八百長の情報を洩らしては金を稼いでいる。
そんなバーニーに損をさせられたキャスパーが、バーニーを始末しろとレオの元に乗り込んでくる。
トムもバーニーを始末した方がいいと忠告するのだが、バーニーの姉・ヴァーナ(マーシャ・ゲイ・ハーデン)を愛人にしているレオは承諾しない。
おお、話がこじれるぞ。争いの火種だぞ。
おまけに、トムはそのヴァーナと肉体関係を持ってしまうのだ。
おお、レオにばれたらどうするんだ。ますます話はこじれてくるぞ。

 

レオの用心棒が誰かに殺され、報復だといってレオはキャスパーのアジトを襲い・・・。
おのれ、許さん!と今度はキャスパーの一味がレオを襲い・・・。
トムはヴァーナとのことをレオに告白して、激怒した彼に追放されたり・・・。
行くあてを失ったトムは今度はキャスパーの側についたり・・・。

 

トム役のガブリエル・バーンは初めて観たと思うのだが、なかなかにクールな印象のハンサム。
トムは腕っ節はからきし駄目だが、切れ者として描かれている。
しかし、そのトムは二手三手先を読んでいるのか、それとも行き当たりばったりでその場しのぎをしているのか、よく分からない行動をとる。
結果往来になってみたり、ありゃ、こんなはずではなかったになってみたり。
結構なポーカーフェイスで真面目に行動しているのに裏目に出たりする。
やはりコーエン兄弟独得のブラック・ユーモアだったりする。

 

そして小悪党バーニー役のジョン・タートゥーロが、いかにもという雰囲気で好演。
クライマックスは、忠誠の証を見せろと、トムが捕らえられたそのバーニーの処刑を命じられる場面。
場所は森の中の”ミラーの十字路”といわれる場所。
なりふり構わずに命乞いをするバーニー。
はたしてトムはバーニーを殺すのか。森の中にひびく2発の銃声。
弟を殺されたと知ったヴァーナとトムの関係はどうなる?

 

見終わってみれば、登場人物たちが、というよりも、登場人物の描き方がどうもひねくれていたな、という感想になってくる。
バーニーもなんとも小狡い嫌なヤツだったが、トムよ、あんたも騙し騙されで、すっきりしないヤツだったな。
嘘が無くて一番純粋だったのは、組織のボスのレオとキャスパーだったなあ。

 

ギャング映画を撮っても、やはりちゃんとコーエン兄弟作になっていました。